そもそもAKBグループのシステム自体が内部で不和を誘発しやすいものである。「選抜総選挙」や「個別握手券の売上」など過度な競争を煽る構造や、「恋愛禁止」といった非人道的なルールを強要している環境によるストレスは、メンバーのメンタルをむしばみ、メンバー間の軋轢を引き起こす要因になるからだ。
また、握手会に代表される“疑似恋愛”ビジネスも、ファンとのトラブルを生み出す要因となっていることは言うまでもない。さらに、一部メンバーが秋元氏ら運営幹部から優遇される一方、そうではないメンバーのなかには過度な競争のなかで承認を求めてファンへの依存度が高まってしまうという問題も生じている。
メンバーへの精神的負荷を考慮することなく、こうしたシステムをビジネスとしてつくり上げ、温存させてきたのは無論、秋元氏だ。しかも、松村取締役が「憂慮されている」という“お言葉”を伝えた状況からもわかるように、秋元氏はもはやAKBグループ運営における“天の声”“天皇”と化しており、運営はそれに忖度するかたちで事業を進めているとしか思えない。
しかし、前回の会見があった1月からいまに至るまで秋元氏の責任を追及するメディアはほとんどない。こうしたメディアの態度が、秋元氏に「他人事」でいることを許しているのは明らかだ。
今日の会見でも、記者の質問は、ファンと「つながって」いたとされる12人の処遇に関する質問などがメイン。前述の通り、秋元氏がこの会見に出席していないことの問題を訊いた記者もいたが、秋元氏の責任や秋元氏がつくりだしたシステムの問題について、追及がなされたとは言いがたい。
NGT48暴行問題について、今後もファンと「つながっていた」とされるメンバーや運営の末端については追及の声は続くかもしれないが、それだけでは到底解決には至らない。
メディアは根本的な問題である秋元氏のつくりあげたグロテスクなシステムについて徹底的に踏み込むことができるのか。それができなければ、この問題の本質的な解決は遠いだろう。
(編集部)
最終更新:2019.03.22 10:34