小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

安倍首相が防衛大卒業式でも自衛隊を道具に改憲を宣言!「お父さん、違憲なの?」の詐術をいつまで使い続けるのか

 安倍首相が「自衛官が息子に『お父さんは違憲なの?』と目に涙を浮かべながら言われた」なる逸話を改憲の理由に持ち出し始めたのは、記録に残っているものとしては2017年からのこと。同年6月24日、神戸市のポートピアホテルでおこなわれた「神戸『正論』懇話会」の設立記念特別講演会での講演では、安倍首相はこう語っていた。

「自衛隊の幹部から、こういう話を聞いたことがあります。その幹部には息子さんがいらっしゃいますが、パイロットのお父さんが大好きで、いつも元気な息子さんだそうであります。その息子さんが数年前、中学校に入った直後、夕食のとき、その日に限ってふさぎこんだ様子で押し黙っていたそうであります。心配になったお父さんが問いただすと、一言、『お父さん、憲法違反なの?』と言って目に涙をためていたそうであります。『合憲だ』と政府見解を説明してもですね、『だって学校でそういう考えがあることを習ったんだよ』と言っていたと言います。果たして皆さん、このままでいいんでしょうか」(産経WEST「安倍晋三首相 神戸正論講演詳報(7)」より)

 その後も安倍首相は「自衛官から聞いた」として、テレビや国会で同じ話を何度も繰り返してきた。つまり、これまでは安倍首相自身が“直接”自衛官から聞いた話として語っていたのに、追及を受けた途端、「秘書官から聞いた」、ようするに“また聞き”だったとすり替えているのだ。

 安倍首相はどうしてこんな発言の“修正”をおこなったのか。そもそも、安倍首相が秘書官経由で「お父さん違憲なの?」話を聞いたという航空自衛隊の現役幹部は実在するのか。じつは、一部で、安倍首相が口にしているエピソードの根拠だと指摘されている自衛隊OBがいる。元航空自衛隊空将で、現在では右派論壇人として活動している織田邦男氏のことだ。

 実際、織田氏は、「林原チャンネル」(2019年1月21日公開)という右派系インターネット番組で、自分の息子から「お父さん、自衛隊って違憲なの?」と問われたエピソードを公開したうえ、「それを私があるところに書いたら、最近、安倍さんがそのフレーズを使うようになっちゃって、あはは(笑)」と発言。その後も自身の息子の話として、同様の発言をおこなっている。

 この織田氏の存在を持ち出し、一部のネトウヨ、安倍応援団やそれ系のまとめサイトは「自衛官は実在している」と安倍首相を擁護しているが、織田氏は現役自衛官ではないし、安倍首相や秘書官に直接話したわけでもなく、本人も「あるところに書いたら、安倍さんが使うようになった」と言っているのだ。これでどうして、「現役自衛官幹部から聞いた」という安倍首相の発言が嘘でない証明になるのか。

 しかも、前述したように安倍首相がはじめて「お父さん違憲なの?」エピソードを披露したのは2017年6月24日、産経新聞が全面サポートする「神戸『正論』懇話会」講演会後のことだが、織田氏はこのエピソードを、その一週間後、2017年6月30日に発売されたまさに産経新聞社発行の「正論」8月号に書いていたのだ。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。