じつは、NHKの報道をめぐっては、先週1日に放送された『ニュースウオッチ9』にもネット上で疑義を呈する声があがっている。それは根本匠厚労相の大臣不信任決議案で無所属の小川淳也議員がおこなった趣旨弁明の伝え方についてだ。
小川議員は統計不正問題で追及の先頭に立ったひとりで、賃金伸び率が引き上げられた2018年の「毎月勤労統計」調査で日雇い労働者を調査対象から外していたことなど重要な指摘をおこなってきた。この日も、小川議員は約2時間にわたり、統計不正の問題点から不正が起こる組織のあり方にいたるまで、濃密な内容の趣旨弁明を展開した。
しかし、『ニュースウオッチ9』では、全体の内容とはかけ離れた切り取り方で報道。小川議員は趣旨弁明の冒頭で、総務省が最近おこなった統計の標語募集に対しネット上に寄せられた“皮肉の投稿”を読み上げたのだが、その部分だけをクローズアップし、挙げ句、小川議員が水を飲むシーンを挿入。「途中、何度も水を飲む姿に議長は」とナレーションを入れ、「少し早めて結論に導いてください」という議長の注意を紹介。結局、小川議員の趣旨説明は「ネットの書き込み」を読んだ部分だけが使われ、その上、自民党・丹羽秀樹議員による「審議引き延ばしのためのパフォーマンスだ」「国民の誰ひとりとして無駄な時間の浪費を望んでいない。どうして気付かないのか」という野党批判をつづけて放送したのである。
約2時間も趣旨弁明をおこなったのだから、水を何度か飲むのは当然だろうが、NHKはあたかも小川議員がネットの書き込みを紹介しつづけるような中身のない話をしつづけ、水を飲むことで時間を稼いでいたかのように切り取った。そして、それに自民党議員の野党批判を重ねることで、「無駄な時間の浪費」がおこなわれたと印象付けたのだ。
何かあると安倍首相は野党や民主党政権時代の批判をおこなうが、NHKがやっていることもそれと同じ。そのやり口は、産経新聞やネトウヨまとめサイトとほとんど一緒だ。これがこの国の公共放送の報道だというのだから、開いた口が塞がらない。
しかも、こうした露骨な安倍政権擁護の報道姿勢は、夏の参院選に向けてますます強まっていくのは間違いない。最近では安倍首相の自民党総裁4選の噂も流れているが、国会審議さえまともに伝えられず、公共放送のニュース番組が安倍首相のPRに成り下がっている現実をみれば、そうなっても少しも不思議ではないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.03.06 06:59