これについて、昨日の衆院予算委員会で石田真敏総務相は「当初の文書は統計委員会担当の職員が西村委員長とやりとりする過程のものであり、正式に提出されたものではない」「不正確なものが国会内に出回っていることにつきましては申し訳なく思っている」と答弁。早い話、やりとりを本人の確認も得ずに文書にし、挙げ句、「明らかに不正確」な内容をでっち上げ、国会の参考人招致を拒否するものとして総務省は野党に回答していたわけだ。
公文書を改ざんした安倍政権のことを考えれば、「さもありなん」と思ってしまうが、こんな簡単にバレるような文書の捏造を平気でやってしまうとは、あまりにも腐敗しきっているとしか言いようがない。
そして、この“捏造文書”問題によってあきらかになったことは、いかに安倍政権が焦り、政府も不都合な証言を封じ込めようと必死になっているという事実だろう。
現に西村統計委員長は、「アベノミクス偽装」にかんする問題で、安倍政権にとって都合の悪い答弁をおこなっていた。
2018年1月に「毎月勤労統計」の調査手法を変更した問題では、2015年に中江元哉首相秘書官(当時)が調査対象の「総入れ替え」を「部分入れ替え」にすべきと厚労省に圧力をかけ、それによって有識者による「毎月勤労統計の改善に関する検討会」(以下、検討会)の結論がねじ曲げられていたことが発覚したが、調査手法の変更では、同時にこんな“賃金伸び率を上振れさせるための偽装”がおこなわれていた。
2018年の「毎月勤労統計」では、産業構造や労働者数などの変化を統計に反映させるための「ベンチマーク更新」という処理を6年ぶりにおこなったのだが、その際、「部分入れ替え」と「ベンチマーク更新」によるデータ変動を過去にさかのぼって反映する補正を廃止。結果、〈調査手法変更による給与の影響額〉は、「部分入れ替え」のほうが337円(0.1%)、「ベンチマーク更新」が967円(0.4%)となり、賃金伸び率は見事に上振れしたのだ(朝日新聞デジタル2月20日付)。
しかも、この「ベンチマーク更新」による補正については、検討会の中間的整理でも〈ギャップの補正(三角修正方式)を行う〉という結論になっていた。にもかかわらず、なぜ補正を廃止したのか。18日の衆院予算委員会で立憲民主党の長妻昭議員がその理由を尋ねると、西村統計委員長はこう答弁したのである。
「(統計委員会は)十分な資料はないというかたちで、これはまだ事実上、ペンディングの状態になっているというふうに私は考えます」
しかし、こうして明確に西村氏が「検討委員会ではペンディング状態になっている」と答弁したにもかかわらず、根本厚労相はその後も「統計委員会でオーソライズをされている」と言い張り、西村統計委員長の答弁と真っ向から食い違う展開となったのだ。
基幹統計をチェックする統計委員会がペンディングにしていた問題を、厚労省と総務省は補正廃止で勝手に突き進んだ──。ここにも官邸からの“圧力”があったのかどうか気になるところだが、このように、国会審議で事実を述べた西村統計委員長を、総務省は“捏造文書”によって国会出席を阻止しようとしたのである。
安倍官邸を忖度した総務省の暴走なのか、それとも「西村を呼ぶな」という鶴の一声があったのか──。ただひとつ間違いないことは、安倍政権下ではこうやって「改ざん・捏造・偽装」と「国会の冒涜」が繰り返されて、国民は騙されつづけるということ。この国は、安倍政権によって、非常に危険かつ異常な状態に晒されているのである。
(編集部)
最終更新:2019.02.26 08:39