安倍首相が何度も改憲の理由として語ってきた「自衛隊員が『お父さん憲法違反なの?』と息子に尋ねられ、そのとき息子は目に涙を浮かべていた」という耳タコ話について、立憲民主党の本多平直議員が「実話ですか?」「駐屯地のそばで育ったが私の実感と違う」「国会で『自衛隊は憲法違反の疑いがある』などと取り上げている政治家って誰だと思うか」と、その根拠を追及すると、安倍首相はまたもこうキレはじめたのだ。
「本多委員はですね、私が言っていること、嘘だって言っているんでしょう? それは非常に無礼な話ですよ! 嘘だって言ってるんでしょう、あなたは! 本当だったらどうするんです、これ。これあなた、嘘だって言っているんだから! こんなに時間を使って私に対して嘘だと言っているというのは、極めて酷い話だと思います」
「あまりにもですね、全面的に人格攻撃ではないかと思う」
大前提として「お前の父ちゃん憲法違反!」といじめられた子どもがほんとうにいるのだとしたら、おこなうべきはいじめの解消・解決であって、憲法改正ではない。そのエピソードをもち出して改憲の理由にすること自体がどうかしているのだが、その上、少し突っ込んだ質問をされただけで「嘘だと言ってる! 人格攻撃だ!」と怒鳴り散らす……。挙げ句、安倍首相はこう叫んだ。
「私が嘘を言うわけがないじゃないですか!」
「あそこのサンゴ」発言やアベノミクス偽装の実態が暴かれつつあるというのに、言うに事欠いて「私が嘘を言うわけがない!」。この幼稚でヒステリックな総理大臣と何か議論するなどということは、どだい無理なのだろう。
しかし、今回、安倍首相が改憲の道具にもち出してきた「自衛隊員募集に協力を拒否する自治体が6割以上もいるから憲法改正が必要」という主張は、非常に危険なものだ。個人情報の扱いとして違法が指摘されている自衛官勧誘のための名簿提出を「協力しない自治体が悪い」と糾弾し、さらに自衛隊募集のための個人情報提出に反対する市民を槍玉にあげて恫喝する──。これはまさに、戦争に協力しない国民や組織を政府が全体主義で糾弾した、戦中のやり方にそっくりだからだ。
安倍改憲がいかに恐ろしいものか。今回の問題は、さらにそれを浮かび上がらせたと言っていい。この主張を安倍首相が取り下げる気配もないため、今後も注意が必要だ。
(編集部)
最終更新:2019.02.14 12:24