実際、この玉川氏の指摘に火曜コメンテーターの青木理氏も強く同意し、こう語っていた。
「僕もその通りだなと思う。こういうの(VTR)を見たりとかすると、今の、たとえば、中国に対する封じ込めなくちゃという政治的なメッセージがアメリカを含めてあると思うんだけど、そういう一緒の敵対意識だったり、一種の排他感情みたいなものが煽られちゃうっていうところがあると思うので。テレビが悪いんだけど、しかし見るほうの人たち、僕も含めてですけど、そのへんを考えながらきちんと見ないと。中国はモラルが低いとか、韓国はどうとかと。だんだんそれ(マナー)は変わってきます。日本だってかつてそうだったんだから。ヨーロッパに行ってバッグから何から全部買い占めて帰ってきて『なんだ』って日本が言われた時代が、バブルの頃とかあったんですからね」
日本人がかつてマナーが悪かったというのも、青木氏が言う通りだ。日本人が公共意識や衛生観念をもつようになったのは、つい最近の話。むかしは日本だって、中国と似たようなマナーの悪さだった。
たとえば池上彰氏も「世界」(岩波書店)2014年12月号で、過去の日本の風景をこう語っている。
〈「昔はよかった」とか「取り戻そう」というのも、その「昔」とは何なのでしょうか。日本はいま街にゴミを捨てる人もいないけれど、一九六四年の東京オリンピックの前に一大キャンペーンが行われるまでは本当にゴミだらけで、青山通りから渋谷は、風が吹くとゴミが舞っていた。「ものを捨てないようにしましょう、行列をつくりましょうという一大運動をやって日本は劇的によくなったんだよ」「いま同じような国があるだろう? ヨーロッパで高いブランド品を買い集めて顰蹙を買っているけれども、日本も七〇年代は全く同じことをやって、一九九〇年代には韓国、いまは中国がそうなった」という話をすると、みんなびっくりします。〉