ブライアン・メイが環境保護や動物愛護の運動に参加し続けているというのはよく知られた話で、つい最近でも、アナグマ保護のチャリティーのために自分の愛用しているギターをオークションに出したのは記憶に新しい。
そのうえ、彼は親日家だからこそ、辺野古の問題にも興味をもってくれたわけだ。
ブライアン・メイといえば、つい最近、「ナショナリズム」について興味深いことを語っていた。
NHKの取材を受けた彼は、初めて日本に行った後、父にツアーのことを話した際に「日本に行ったんだって? 大丈夫なのか?」と声をかけられたと振り返っている。
1947年生まれのブライアン・メイの父親世代にとって、日本とは第二次世界大戦戦争で戦った「敵国」という認識が抜けていないからだ。しかし、ブライアン・メイが日本のファンからもらったプレゼントを見せたり、日本の観客の歓声を聴かせたりしたら、だんだんと父が抱いていた日本への偏見や嫌悪感も薄らいできたという。
そのような経験を踏まえつつ、ブライアン・メイは、国境を超えて相互理解することの重要性を訴え、さらに、各国でナショナリズムが強化されていく状況に危惧を示している。
「僕らの世代にとって、それは日本との新しい関係を作っていくことで、大切なことだった。僕は国際主義者で、今世界で起きていること-ナショナリズムが再び生まれていることや、その影響を心底嫌悪している。イギリスがヨーロッパから出て行くという考えも大嫌いだ。後戻りだと思っている。
僕は壁ではなく橋を作りたい。だからアメリカで起きていることも嫌いだ。だから僕はこれが世界にとって一過性のものに過ぎないことを願っているし、これを乗り切れば、世界を一つの惑星にする作業に戻ることができると思っているよ。
世界のあちこちのコミュニティーが人類として一緒になる。それがすべてさ」(「NHK NEWS WEB」より)
この言葉からわかる通り、ブライアン・メイが親愛の情を示しているのは、クイーンの音楽を愛してくれた日本のファンたちであり、自分たちにクリエイティブなインスピレーションを与えてくれる日本の文化や自然である。
日本という「国家」ではないし、ましてや、「安倍政権」などではない。
ブライアン・メイが沖縄のことを思って発信した今回の発言は、ネトウヨの言う「愛国」というのは日本に暮らす市井の人々や文化や自然への愛情なのではなく、つまるところ「安倍政権への盲信」なのだというペテンな構造を暴き出したのであった。
(編集部)
最終更新:2019.01.07 10:33