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BTS問題のヘイト的本質とファンダムの新しい力(後編)

BTSファン「ARMY」がスゴイ! ネトウヨの差別攻撃にもメディアの嫌韓にも負けず、国境を超える連帯と勇気

 また、彼らはBTSのひとつひとつの言動を擁護するだけでなく、このBTSバッシングの本質が「韓国差別」であることも喝破し、それにも抗議の声をあげている。

〈原爆弄りは本当にしてはいけないことです。だからあのTシャツを着てしまったBTSのメンバーは軽率だったと私も思っています。しかし高須さんは「それは韓国では解放の日かもしれないが、日本では悲劇の日なんだ」ということを“教える”のではなく、「原爆少年団」と弄り、晒しあげ、20代の若者の未来を“潰す”行動をしている。これは虐めと同じだと思います。その姿が大変不快です。〉
〈BTSが日本で活動して何が悪いの? 韓国人だからって差別とかよっぽど叩いてる人の方が許せないんだけど。同じ人間として嫌になるわ。〉
〈BTSがMステ出演無くなるのはおかしい、そもそも日本人が、韓国に対して慰安婦問題とか、そもそも戦争を起こした事が悪い
BTSは何も悪く無いじゃん
反日の人への悪口とか文句ってもう日本では、差別みたいになってる〉

 また、本サイトは9日の記事で、BTSが「韓国バッシング」の道具にされていることを指摘したが、この記事も、ARMYたちの手によって、英語や韓国語はもちろん、スペイン語やアラビア語にまで翻訳され、世界中に拡散している。

 これまで芸能人やアーティストがネトウヨから激しい攻撃にさらされるとそのファンたちも沈黙。結果的に芸能人やアーティストが孤立し、謝罪に追い込まれるということが繰り返されてきたが、ARMYたちはネトウヨたちのデマ攻撃や差別攻撃に必死で抵抗し、少しでも問題の本質を知らせようと地道に活動を続けているのだ。

 いったいなぜ、彼らはBTSのためにここまで真摯に向き合い、闘えるのか。そこにはK-POPならではのファンダム文化が大きく関係している。「ファンダム」と呼ばれる熱心なファンの存在感やコミュニティの連帯感、影響力の大きさは、とりわけK-POPでよく見られるものだ。

「ユリイカ」(青土社)2018年11月号のなかで北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授の金成玟氏はこのように記している。

〈たびたび韓国政府をK-POPの立役者として取り上げるのを耳にするが、もし立役者を選ばなければならないのなら、その答えはファンダムになるべきである。H.O.T.からBTSまで、数々のアーティストを支えてきた献身的なファンダムこそ、K-POPが築きたかった、そして築かなければならなかった「ソーシャルメディア的想像力」の音楽空間を可能にした存在だからだ〉

 こうしたファンダム文化のなかでも、BTSを支えるファンであるARMYはとくに連帯が強いと言われている。sMエンターテインメント、YG エンターテインメント、JYPエンターテインメントといった大手芸能事務所ではなく、Big Hitエンターテインメントという新興の事務所から生まれたBTSが「ビルボード総合アルバムチャート2作連続1位」という東アジアのグループが歴史上誰もなし得なかった偉業を(しかも、英語ではなく韓国語で歌ったアルバムで)達成した背景には、最強のファンダムであるARMYの存在がある。

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