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米・中間選挙を前に「トランプNO」ミュージシャンが続々! ポール・マッカートニー、ガンズ・アンド・ローゼズも

 テイラーは前述したインスタグラムの投稿のなかで、〈肌の色、ジェンダー、誰を愛するかといったことに関係なく、すべてのアメリカ人の尊厳のために戦ってくれない人には投票することはできません〉と書いているが、これは、人種差別、女性差別、性的マイノリティ差別を公然と行ってきたトランプ大統領に対するテイラーからの評価である。インスタグラムのポストで直接トランプ大統領を名指ししてはいないが、先に引いた〈この2年間に、私の人生や世界でも色々なことがあったことにより〉との文言がトランプ大統領を指しているのは明らかだ(トランプが大統領選挙に勝利したのは2016年11月)。

 前述のように、ポップス、ロック、ヒップホップなど、ジャンルを問わず多くのミュージシャンが反トランプの姿勢を明確にするなかで、テイラーは沈黙を貫いてきた。

 その背景には、もともとテイラーが属していたカントリーミュージック業界の特殊性がある。詳細は本サイトの過去記事に詳しいが(https://lite-ra.com/2018/10/post-4307.html)、カントリーではかつてブッシュ大統領批判を行ったグループ(ディクシー・チックス)が業界から干されるという大騒動が起きたことがある。

 テイラーがディクシー・チックスの騒動を知らないはずはなく、これまで政治的な主張、トランプ大統領への批判を控えていた背景に、この歴史は無関係ではない。

 ただ、トランプ政権下のアメリカではそういった態度は多くの批判を浴びていた。意見を表明しないということは、現状を追認していると捉えられたのだ。

 実際、政治的な意見表明、とりわけトランプ大統領の差別主義に対し態度を明確にしなかった結果としてテイラーは白人至上主義の人たちから「アーリアの女王」と呼ばれ、白人ナショナリストたちのアイドルとして祭り上げられることにもなった。

 14年発表のアルバム『1989』以降のテイラーはダンスミュージックに急接近し、現在はプロパーなカントリーミュージシャンとは言い難い音楽性になっているが、それでも、今回の発言により失うファンは少なくないといわれている。

 だが、たとえ大きなリスクを伴っても、テイラーは今回トランプ政権に対し批判的な態度を明らかにした。ミュージシャンとして大きな社会的影響力をもつ立場にある人間として、人種差別、女性差別、性的マイノリティ差別にもうこれ以上沈黙を続けることはできなかったのだろう。

 日本では芸能人が権力批判をすると、その内容云々以前に、「政治的な話をした」ということが猛反発を受ける。「音楽に政治をもちこむな」などという嘆かわしい標語が一定の支持を受けるような状況にあるこの国から見ると、現在のアメリカで起きている現象はとても遠いものに思えるが、リスクに屈せず意見を表明するテイラーらミュージシャンの姿からは学ぶものが多くあるだろう。

最終更新:2018.11.05 10:39

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