しかし、そういったおせっかいには耳を貸さなかった。前掲の毎日新聞のインタビューで沢田研二はこのように語っている。
「9条も含めて、売れている頃は、そういうことは考えないようにしていました。考えて何かしようとしても、きっと周囲が止めると分かっていたから。でも、こんな年齢になったから、ちゃんと言っていかないと恥ずかしいよね。集会やデモの先頭に立って、ではないけど。だって自分に無理のない方法でやらないとしんどいでしょう」
先の発言で述べている通り、沢田研二だって最初からこのような自由を手に入れたわけではない。2012年5月4日付け朝日新聞のインタビューでは「華麗なジュリー、セクシーなジュリーに似合わないことは、言えなかった」とも語っており、その抑圧を打ち破るのは簡単なことではなかったと明かしている。
ただ、同インタビューで沢田研二は「18歳でこの世界に入り、いつまでもアイドルじゃないだろ。昔はジュリー、今はジジイ。太ったっていいじゃない」と開き直ってもいる。その姿は清々しい。
「音楽に政治を持ち込むな」などというバカげた意見が跋扈する現在の音楽業界において、沢田研二のようなアティテュードを貫くことができるミュージシャンはあまりにも貴重だ。
沢田研二は端からワイドショーの意見など耳を傾ける気はないだろうか、どうかこのままの姿勢で歌い続けてほしいし、若手ミュージシャンもこの気骨ある態度を受け継いでほしいと思うのである。
(編集部)
最終更新:2018.10.19 10:39