日本のファンからもこうした理由で秋元氏とのコラボレーションに批判的な声が上がっていたが、同日夕方頃、韓国でもBTSファンが怒りを表明し始めて以降、事態は大きく動いていく。
韓国のBTSファンと思われる人物により、秋元氏との仕事を続行させることはBTSのアーティストイメージを損なうとの主張が書かれた文書が作成され、その文書の画像を多くのファンが共有した。
「秋元康は右翼的政策の安倍政権に付き従う作詞家」という旨の文言が記されたその文書は、多くのフォロワーによってBTSの日本オフィシャルツイッターアカウント宛にリプライされることになる。
秋元氏と安倍首相の親密な関係は常々指摘され続けてきた。最も有名な例は「FRIDAY」(講談社)に掲載された、安倍首相や見城徹氏(幻冬舎社長)らと共に総理公邸の西階段で「組閣ごっこ」写真を撮影した件だろうが、そういった関係性を背景に、秋元氏は国が主催する仕事を多く受注してきた。
その端的な例は、秋元氏が東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事に選出されているということだろうが、他にも、クールジャパン推進会議のメンバーに秋元氏が入っていたり、また、2013年12月には日本主催のASEAN特別首脳会議の晩餐会にAKB48を登場させたこともある。
前述の文書では秋元氏の歌詞に見られる女性蔑視的な傾向についての記述はなかったが、それとは別に、日本同様、秋元氏の書く歌詞に女性蔑視的な思想のものが少なくない数見受けられることを指摘して、危惧を訴える声も出ている。
そういったファンによる行動はネット上にとどまらず、BTSが所属する芸能事務所であるビッグヒットエンターテインメントのオフィスにも、コラボの中止を訴えた付箋やテープなどが貼られる事態ともなり、問題は時間を追うごとに大きくなっていく。
結果的に、17日になって「Bird」の収録が見送られるとの発表がなされることになった。
コラボ中止のニュースを受けて、特段BTSファンでもなさそうな人たちから「BTSはもう日本に来るな」「これでBTSの紅白出場はなくなったな」などといった声も起きているが、こういった声が恥ずかしげもなく起こること自体、いかに日本の音楽産業がガラパゴス化しているかを端的に示している。