いや、それだけではない。安倍首相は「本当にそういう出来事があったのかどうかね、(自分の)陣営に訊いたんですよ。知ってる?と。 みんな、そんなことがあるはずがないって大変怒ってました」などと嘯き、続けざまに斎藤農水相が圧力議員の名前を伏せたことをあげつらって、「もしそういう人がいるんであれば、名前を言ってもらいたいんですね。どういう意図で言ったのって私も確かめてみたいと思います」などと生放送で“脅し”まで仕掛けたのだ。
こうした安倍首相の攻撃に対しては、さすがに石破氏も毅然とこう言い放った。
「斎藤健さんっていう人は、作り話をするような人では絶対にない。それは閣僚として、ああいう場に立つわけですよ。ありもしないことを言うような人ではまったくない。彼がそう言ったからにはそういうことがあったんでしょう。それじゃあ誰なんだ?という話ですがね。これ、仕組みがなんか財務省のセクハラ疑惑に似てるような気がするんですよね。被害者に『名乗り出なさい』と言うような。斎藤さんは(圧力議員が)誰かってことは言わないですよ。そこはね、彼のいろんな配慮があったんだと思う。(名前を)言っちゃったらどうなるんですか。もうそれこそ党内めちゃくちゃでしょうよ」
すると、安倍首相は露骨に嫌そうな表情をつくって、「ただですね、名前を言われないためにですね、いろいろな人が疑われていて、週刊誌からあなたが言ったんだろうと、こう言われているんですよ。非常に嫌なことになってるんですね!」。逆に被害者ヅラをして、またぞろワケのわからないことを延々とがなりたて始めるのだが、ヒートアップしすぎたのか、なんと自ら“犯人”をポロリと示唆してしまったのだ。それは、こんな発言だ。
「やっぱり、彼(斎藤農水相)に対して、若くして大臣になりましたから、若いというのは当選回数がね、ですからそのなかで、そういういろいろジェラシー等もあるんだろうと思います。そういう世界ですから。それを前提にね、『自分は大臣になってないのに君は大臣になったじゃないか!』と言う人もいるかもしれません」
安倍首相は当初、「本当にそういう出来事があったのかどうか」と打ち消していたはずなのに、いつの間にか妙に生々しい話になっているのは、これはもう、本当は“犯人”をよく知っているということではないのか。