他にも、自民党の片山さつき参院議員が藤井氏とネット番組で共演するなど、これだけみても、自民党の極右ネトウヨ議員たちと藤井氏がほとんど一体化していることは明らかだろう。とりわけ、安倍首相が自民党に招き入れた杉田・和田両議員との昵懇な関係が意味するのは、今回の台湾での慰安婦像蹴撃事件は、単にファナティックな極右運動家の“おふざけ”では決してなく、安倍政権がつくり上げている流れと地続きにあるということだ。
事実、いうまでもなく安倍首相自身が慰安婦問題を否定する歴史修正主義の旗手だ。若手時代には、自民党の勉強会で慰安婦の強制連行否定論をまくしたて、あげく「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね。ですから、それはとんでもない行為ではなくて、かなり生活の中に溶け込んでいるのではないかとすら私は思っているんです」などと、“韓国は娼婦国家”という趣旨の発言までしている。
さらに第二次政権以降も、韓国での慰安婦像(少女像)設置に猛反発し、駐韓大使を一時帰国させるなどの圧力を続けている。先月行われた国連人種差別撤廃委員会でも日本政府代表が“強制性は吉田清治証言と朝日新聞が捏造した空想の産物”とデマをばらまいたのも記憶に新しい(過去記事参照)。https://lite-ra.com/2018/08/post-4197.html
こうした安倍政権の慰安婦問題の否定に象徴される歴史修正主義の潮流が、今回の“慰安婦像を蹴る”という信じがたい行為の背中を押し、お墨付きを与えていると言っても過言ではない。本来ならば、安倍首相は、日台関係を揺るがしているこの問題に素早く反応し、台湾や元慰安婦の人々に謝罪すべき立場にもかかわらず、いまだにだんまりを続けていることがその証左だろう。
日本の侵略や戦争犯罪を否定し、あろうことか慰安婦の像まで蹴ろうとする行為は愚の骨頂であり、とうてい許されないことは言うまでもない。だが、それだけでなく、こういった恥知らずの極右運動を放置している日本政府、ましてや安倍首相が寵愛する議員たちが連携しているという事実についても徹底して批判すべきだ。このままでは安倍首相のせいで、日台関係の悪化だけではなく、この国が国際社会から孤立してしまうことになるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.09.13 12:59