そもそも、今回の災害対応では、死者数の独自発表を筆頭に、安倍首相の「スタンドプレー」と呼ぶべき「やってる感」演出があまりにも目に付く。
事実、7日の関西国際空港の国内線再開についても、関空を運営する関西エアポートが発表すべき内容だったが、先に安倍首相が言明したために〈関空の国内線、7日中に再開 安倍首相が表明〉(日本経済新聞)〈関西空港、国内線は7日再開 安倍首相が見通し〉(朝日新聞デジタル)など、安倍首相の名前がタイトルに躍った。
つまり、死者数を独自集計しているのと同様に、他の担当大臣や事業者が発表するものを安倍官邸が集約することで、安倍首相のニュースを増やしているのではないか、と見られるのだ。
こうした手法を安倍官邸がとっているのは、「ザイオンス効果」(単純接触効果)を狙ってのことだろう。これは、繰り返し同じ人やモノとの接触機会が増えることで好印象を抱く作用が生まれるといい、マーケティングで用いられているもの。そして、この効果を利用したのが、トランプ大統領だ。たとえば、脳科学者の茂木健一郎氏は、泡沫候補だったトランプ氏が過激な発言をSNSやメディアで連発したことは、知名度が上がっただけではなく、このザイオンス効果を通して好感度が上がったと分析している(「プレジデント」2016年12月19日号/プレジデント社)。
災害対応の「やってる感」を醸成するために、安倍首相の発言・発表機会を増やす安倍官邸と、それにまんまと乗っかり、対応の中身を検討・精査することもなく、安倍首相を冠にしてニュースを垂れ流すNHK──。この状況は、安倍首相の独裁化がどんどんと進行していることを象徴するものだろう。
(編集部)
最終更新:2018.09.11 12:29