それこそ「特別」扱いの匂いがプンプンするが、そもそも、田崎氏が名乗っていた「特別解説委員」なるポストは極めて謎に包まれていた。
事実、本サイトでは以前、田崎氏が自民党からカネを受け取っていたことを報じたが、その際、田崎氏の「特別解説委員」としての資質や責任を時事通信社に質した際にも、時事通信側は不可解な回答をしていた。
念のため振り返っておくと、これは、自民党本部の政党交付金使途報告書から、田崎氏へのカネの流れが判明したというもの。2013年分の同報告書によれば、この年、自民党本部は4回にわけ、田崎氏に対して合計26万360円を支出している。いずれも名目は「組織活動費(遊説及旅費交通費)」だが、政党交付金からの支出であり、その原資は国民の血税だ。2013年当時、田崎氏の肩書は「特別」のつかない「時事通信社解説委員」だった。
なお、本サイトでは昨年12月にも、自民党本部の2016年分政治資金収支報告書の記述から、自民党が田崎氏に「遊説及び旅費交通費」の名目で約7万円のカネを支払っていた事実を報道している。調べたところ、このカネが支払われた少し前に、田崎氏は自民党鳥取県支部連合会の大会で講演を行なっていた。
これは、田崎氏個人の問題ではなく、時事通信社という報道機関のスタンスに関わる問題だ。本サイトは2016年6月25日に、2013年の自民党からの金銭授受について時事通信社へ7項目にわたる質問状を送付したのだが、返送されたファクスに書かれていたのは〈田崎史郎氏は現在、弊社と雇用関係がありませんので、ご質問には回答しかねます〉のみ。そこで当時、本サイトはもう一度時事通信社に問い合わせ、「時事通信社特別解説委員」なるポストについて説明を求めたのだが、やはり「雇用関係はない」との一点張りだった。
その謎に包まれていた田崎氏のポストだが、前述の時事通信労働者委がHPで明らかにしている。労働者委側の質問に対して会社側担当者は、〈「特別解説委員」は社の内規で定めており、「会社が認めた者」に限り名乗ることを認めるもので、田崎氏が65歳を過ぎた約2年前から設け、田崎氏は特別解説委員の「第1号」となっていると説明〉。しかし、労働者委がその内規の開示を求めたのに対し、社はこれを拒否したのだという。