あらためて7月5日夜の首相動静を見てみよう。
〈午後8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎着。同党の若手国会議員と懇談。上川陽子法相、同党の竹下亘総務会長、岸田文雄政調会長ら同席。
午後9時19分、報道各社のインタビュー。「懇談はどうだったか」に「和気あいあいでよかった」。同20分、同所発。
午後9時38分、私邸着。〉(時事通信)
時事通信以外の首相動静もだいたい同じ内容だ。宴会に出たのはたしかに50分だが、そもそもこんな状況でただの内輪の飲み会に5分でも行くのがおかしいし、志らくは宴会のあとの安倍首相が災害対応していたと話していたが、実際は1分足らずの取材を受けたあと、私邸にまっすぐ帰っているのだ。言っておくが、帰ったのは公邸でなく、私邸だ。家で災害対応していたなどという言い訳は通用しない。これのどこが、一体、「(災害)対応に見舞われて、それでくたびれ」たことになるのか。
どこでこんな与太話を仕入れてきたのか。ネトウヨのフェイク擁護に飛びついたか、官邸関係者に「ご説明」でも受けたのだろうか。いずれにせよ、ここまで露骨な安倍擁護もないだろう。
しかし、志らくは「自民擁護は誤解」であり、「ネットニュースの悪意」のせいだというのだ。
「そしたらネットニュースで、たぶん、悪意があるんでしょうね。『志らく、自民党の宴会擁護』って出ちゃった。それがタイトルになっているから、中を読まずに『志らく、なんだこのクズ落語家』とか、『なんでこんなもん擁護するんだ』『安倍のポチ』とか、いろんな言われ方をした。そうじゃないんだと、ツイッターで発表すると、『いまさら言い訳なんかして情けないヤツだ。お前の落語なんて二度と聞くまい』とか。聞かなくていいよ、お前なんか。聞いたってわかりゃしないだろとか思うんだけど」
ネットニュースが悪意で志らくの発言をねじ曲げたかのような言い草だが、説明してきたように、志らくが自民擁護していたのは、誤解でも歪曲でもなく、紛れもない事実だ。
志らくのやっていることは、安倍政権の「あり得ない対応」に対する責任は問わず、野党や批判の声のほうになぜか批判の矛先を向け、もともとの安倍政権への批判を打ち消す行為だけだ。志らくがどれだけ詭弁を弄しようとも、安倍批判封じであり、安倍擁護以外の何ものでもない。