前川氏の直系どころか、安倍政権に近かった佐野容疑者。じつは、佐野容疑者の今回の大胆な不正入学収賄の背景にあるのは、「安倍首相が招いたモラルハザードではないか」という見方も流れている。
これは、無理やり話を結びつけようとしているのではない。もっと具体的な話だ。今回、佐野容疑者が東京医大関係者からの依頼を受けて同大を選定した「私立大学研究ブランディング事業」をめぐっては、“アベ友”である加計学園も選ばれているのだ。
本サイトで今年1月に報じたように(https://lite-ra.com/2018/01/post-3723.html)、じつはこの事業がスタートした2016年度の採択では、加計学園が運営する岡山理科大学と千葉科学大学の2校が選定されている。しかも、同じ学校法人から2校が選ばれていたのは、加計だけなのだ。
さらに、東京医科大には補助金として3500万円が交付されたが、加計グループに対して交付された補助金は、千葉科学大が3752万円、岡山理科大が4121万円と、東京医大を上回っている。
いや、加計への疑惑が深まるのは、この補助金を交付する大学が決定されたタイミングだ。2016年11月には萩生田光一官房副長官(当時)が獣医学部新設の条件として「広域的に獣医学部のない地域に限り」という加計ありきの文言を加え、同9日の国家戦略特区諮問会議でそのとおりに新設が決定された。そして、加計学園2校に補助金交付が決まったのは、それから約2週間後の22日なのだ。もちろんこの時期、文科省は加計学園と安倍首相の深い関係について痛いほど認識していたはずだが、そのタイミングで補助金の交付が決定されていたのである。
佐野容疑者が東京医大に便宜を図ったのは2017年で、この加計グループ2校が選定された次の年のこと。つまり、「総理案件」である大学が、しかも2校もねじ込まれている実態を知る立場にあれば、「それぐらいは許される」という見込みが佐野容疑者にはあったのではないか。そう勘繰らずにはいられないのだ。
安倍首相が血税をお友だちに流し、その実態が暴かれても平気な顔をして総理の座に座っている。その親玉のモラルのなさが、霞が関にも伝染しつつある──。「最大のガン」が幅を利かせるかぎり、こうした問題が後を絶たなくなるのは間違いない。そして、不正入学問題への捜査と同時に、今回クローズアップされた加計2校の選定についても、そのプロセスを明らかにするべきだろう。
(編集部)
最終更新:2018.07.07 01:28