首相官邸ホームページより
大阪北部地震とサッカーW杯を利用した加計孝太郎理事長による「ゲス会見」から約1週間。ようやく安倍首相がきょう開かれた参院予算委員会で会見について国会で口を開いたが、またも“汚れたお友だち関係”を全開にした。
まず、安倍首相は「加計学園による記者会見は、加計学園と愛媛県や今治市とのやりとりにかんしておこなわれたもので、政府として内容にコメントする立場にない」と言い、事実上、答弁を拒否。
誰も、安倍首相に論評など求めているわけではない。加計理事長の主張は、「加計と愛媛県、今治市のやりとりの問題」などではなく、安倍首相が「獣医大学いいね」と面談で言ったとでっち上げることで「前に進めるためにやった」というもので、安倍首相の名前を勝手にもち出して詐欺行為をはたらいたことを認めるもの。つまり、安倍首相本人と、自身が最高責任者である国家戦略特区に対する詐欺行為の告白であり、安倍首相は当事者として説明責任がある。「政府としてコメントする立場にない」と拒否できるような話ではないのだ。
しかも、安倍首相は森友学園の籠池泰典前理事長を「詐欺をはたらくような人物」と罵ったくせに、加計理事長にはそんな罵声を一言も浴びせず、それどころか、きょうの国会答弁で、こう庇ってまで見せたのだ。
「記者会見は独特の雰囲気があり、不慣れな人にとっては一問一答で畳みかけられると、ときには質問の趣旨を取り違えて答えてしまったこともあり得るんだろうと思っている」
「独特の雰囲気」も何も、メディアの選定から流れまですべて加計理事長が会見を仕切っていたのだから、「不慣れ」などと同情を寄せる理由などひとつもないのだが、安倍首相がこんなことを言い出したのは、もちろん保身のためだ。
というのも、加計理事長は記者会見で、安倍首相や官邸のこれまでの説明とは矛盾する話をしてしまったからだ。
そのひとつが、記者からの「加計学園の職員が官邸に行ったり総理のまわりの人に会ったことはまったくない?」という質問に、「ないです」とはっきり答えてしまったことだ。周知のように、柳瀬唯夫・元首相秘書官は国会に参考人として答弁した際、加計関係者と3回にわたって面談をおこなった事実を自ら認め、「加計学園やその関係者の方とお会いした記憶はあると、そこは一貫している」と断言した。それを加計理事長は、何をとち狂ったのか「ない」と言ってしまったのだ。
さらに、加計理事長は「首相と獣医学部の話を初めてしたのは昨年1月20日以降か」という質問に対し、「そういうことだと思う」と答えた。だが、安倍首相は先月5月28日の衆院予算委員会で、「この問題が大きな問題になりつつあるなかにおいては、もうこれは話をしないほうがいいんだろうと、それぐらい話をしていない」「昨年から今年については話をしていない」と答弁しているのである。
安倍首相を擁護しようとした結果、矛盾を生んでしまった加計理事長。嘘に嘘を重ねているあいだに訳がわからなくなってしまったのだろうが、だからこそ安倍首相は会見についてコメントを拒否しながらも、「質問の趣旨を取り違えて答えてしまったのだろう」などとフォローしなければならなくなったのだ。しかし、こんな言い訳で、安倍首相と加計理事長の矛盾だらけの主張を鵜呑みにする馬鹿は安倍応援団くらいのものだ。