いや、黒塗りによる隠蔽だけではない。昨日の衆院財務金融委員会では、新たに「改ざん後の改ざん」まで浮上した。
問題となっているのは、森友問題が国会で取り沙汰された直後の昨年2月13日に近畿財務局の池田靖・統括国有財産管理官と籠池理事長(ともに当時)が電話で協議をおこなった際の「応接記録」。これを財務省に対して提出するよう共産党の宮本岳志議員が要求し、今年3月30日に出されたのだが、この応接記録を同じく共産党の宮本徹議員が独自に入手。2つの記録を比較したという。
すると、財務省から提出された記録は1ページだったにもかかわらず、独自入手のほうは4ページにもわたっており、さらには池田管理官が「朝日新聞社の取材に関して、除去費用の額を1億円と回答してはいないか」などと籠池理事長に質問。国会対応の口裏合わせをおこなっていたという。こうした口裏合わせをした箇所が、財務省提出記録からはごっそりと削除されていたのだ。
記憶に新しいように、財務省が決裁文書の改ざんを認めたのは今年3月12日のこと。そして、財務省がこの応接記録を宮本岳志議員に提出したのは約20日後の3月30日。つまり、財務省は改ざんを認めたあとにも文書の改ざんをおこなっていた可能性が高いのだ。
こうなってくると、財務省が公表した交渉記録も改ざんされている疑いをもたざるを得ないのは当然の話。しかも、公表された交渉記録には、近畿財務局に小学校建設予定地で昭恵夫人が籠池夫妻と撮った写真が示され、「夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と籠池理事長が説明した2014年4月28日の記録など、たしかにあるはずなのに出されていないものが複数あるのだ。
麻生財務相は「また出てくるかもしれない」と言いながら、この4月28日の記録については「いままでの段階ではまったく見つかっていないのが事実」と答弁。太田充理財局長も「努力はしたがどうしても4月28日の記録だけは探せなかった」と必死になって“ない”ものにしようとしている。誰の目にもあきらかなように、かなり怪しい動きをしているのだ。
担当大臣が罪を認めないなか、現在進行形でおこなわれている改ざん・隠蔽──。この国でいま起こっていることは、到底、正気の沙汰とは思えない。
(編集部)
最終更新:2018.05.30 11:43