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武田鉄矢に中原昌也が小説で面白すぎる罵倒! 背景に武田のネトウヨ化、安倍応援団化への嫌悪感?

 思わず笑ってしまうほどの悪口のオンパレードで、〈小さな鉄矢〉に対する執拗なまでの描写などさすが中原昌也と言いたくなる書きっぷり。作者である中原自身が武田鉄矢を嫌いで嫌いで仕方ないとしか思えない。

 でも、なぜ武田鉄矢なのか。中原の小説なのでもちろんわかりやすいベタな物語などでないのは当然だが、それにしてもあまりに唐突だ。

 そう首をひねりながら、読み進めているううちに、この武田disはもしかして、前述した武田の安倍応援団化、ネトウヨ化への中原の嫌悪感が書かせたものではないか、という推理が頭をもたけてきた。

 というのは、この武田鉄矢のくだりと次の場面とのあいだに、これまた唐突に、誰のものとも判然としないこんなセリフが差し挟まれていたからだだ。

「誰とメシ食おうといいじゃないですか!」

 実はこれ、冒頭で紹介した昨年12月24日放送『ワイドナショー』にゲスト出演した際、武田鉄矢が放った言葉である。

 この日の『ワイドナショー』では、同月15日に松本人志、指原莉乃、古市憲寿、東野幸治の『ワイドナショー』メンバーが安倍首相と四谷の焼肉店「龍月園」で食事をしたことに対して批判の声が起きていることを取り上げた。そこで武田鉄矢はこのようにコメントをしたのだ。

「誰と飯食おうといいじゃないですかね。あの人とは食べちゃいけない、この人とは……って。なんかみんな、やたら、反権力とか、政治を批判したり、それから首相に向かってバカと言ったりなんかすると、ちょっとかっこよがるっていう、なんかそういう風潮ありますよね。政治を批判する方たくさんいらっしゃいますよ、職業としてね。それは大事なことなんでしょうけど、相手が殴り返してこないことを見てて『かかってこい』と言う人いますよね。それはずるいと思うんだよね。誰とでも飯を食うというのは、とても大事な人間のある部分じゃないかな」

 ご存知の通り、そもそもこの日、安倍首相は米軍ヘリ部品落下事故の件で上京していた翁長雄志沖縄県知事と会談せずに、自分の「オトモダチ」でいてくれるタレントとの会食を優先。首相としての姿勢そのものを疑わざるを得ないものだった。

 また、たとえ、そのような事情がなかったとしても、「誰と飯食おうといいじゃないですかね」ということはない。松本人志の『ワイドナショー』は政治問題も扱う一種の「報道番組」だ。そのような番組をもっている以上、権力とは常に一定の距離感を保ち続けなくてはならない。だから、多くの人に批判されているのである。武田鉄矢はそういった基本的なところがまったくわかっていない。

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