だが、いま問題の焦点となっている2015年4月2日の面会記録文書にしても、加計学園の獣医学部新設について当時文科相だった下村氏と安倍首相が話し合うなど、下村元文科相と加計のかかわりは重大なポイントとなっている。さらに、加計幹部らが官邸訪問したとき、下村文科相と安倍首相は官邸で面会しており、その上、下村文科相は官邸内で加計幹部らに「やあ、加計さん。しっかりやってくれよ」と声をかけたと「週刊朝日」(朝日新聞出版)が伝えているのだ。
しかし、下村元文科相は昨年6月末に開いた記者会見で、選挙中であることを理由に「都議選が終わったら丁寧にお答えします」と述べたきり、都議選が終わって約10カ月が経ついまも「丁寧にお答え」などしていない。
ようするに、自身に向けられた闇献金疑惑から目をそらせようと、本題とは何の関係もない横領疑惑をもち出して「選挙妨害だ」とがなり立てた。──これは、福田次官のセクハラ行為が問題になっているのに、無断録音を俎上に載せて「犯罪だ」と強弁する態度とまったく同じの、醜い話のすり替えではないか。そして、いまなお下村元文科相は疑惑の説明から逃げつづける一方で、セクハラの矮小化と女性記者の名誉を毀損するような暴言だけはしっかり吐いているのだ。
こんな人物が文科相だったのかと思うだけでおぞましいが、しかし、これが安倍自民党の正体なのだ。たとえば、セクハラ問題に抗議する野党の女性議員たちに対して自民党の長尾敬衆院議員が〈少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!〉などと投稿し炎上、昨日になって投稿を削除、謝罪をしたが、同じく自民党衆院議員の杉田水脈氏も今回の問題を〈冤罪〉〈現代の魔女狩り〉と主張。麻生太郎財務相にいたっては、オフレコの場で記者たちに対して「男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか」「ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ。触られてもいないんじゃないの」と開き直っている。
国民に説明責任も果たさない疑惑の元大臣がセクハラ告発した女性記者の行為を「犯罪だ」とのたまい、頑として他人事の担当大臣が「男に替えればいいだけ」と言い放つ──。安倍政権が必死に喧伝してきた「女性が輝く社会」という政策は、結局、こういった女性の権利、国民の権利を奪う“自分勝手”な本音でできあがっている。そのことを忘れてはいけないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.04.23 10:44