たとえばケント氏は、加計学園問題が大きく報じられていた昨年7月に〈「加計問題=フェイクニュースだ」と誰でも理解できる〉などと主張。加計報道を〈テレビ報道の偏向〉と呼び、〈番組制作者やコメンテーターの偏向ぶりは、日本が憲法を改正して「普通の国」になることを阻止したい外国政府の工作員か、女や金の問題で弱みを握られた「敵の手先」としか思えない〉などとわめき立てていた。
さらに上念氏も同様に“偏向報道だ!”と騒ぎ、他方で「総理のご意向」文書の存在を実名告発した前川喜平・前文部科学事務次官を「嘘つき」と断言。文書を作成した文科省職員についてのあきらかなデマをSNSやラジオ番組で垂れ流していた。最近も、面会記録文書が出てきた際に「モリカケは朝日案件」といまだに朝日を攻撃するというネトウヨ丸出しの投稿をしたばかりだ。
このような露骨な安倍首相・加計擁護を繰り返してきた人物に、“ご褒美”として客員教授に迎え入れる──。そもそもケント氏や上念氏は、加計問題にかぎらずメディアを通じて悪質なデマを流布したり、さらには排外主義を前面に打ち出し、ヘイトスピーチを連発している。このような人物を客員教授として採用すること自体、大学としての姿勢を疑わざるを得ないだろう。
その上、陰謀論でしかない書籍を、学生に対して講義の参考書として薦めるとは……。これが、“世界最先端の研究”をおこなうという建前で規制緩和がなされ、できた学部の実態の一端なのである。安倍首相と加計孝太郎理事長の深い友情関係によって誕生した獣医学部なのだから、さもありなん、と言わざるを得ない。
(編集部)
最終更新:2018.04.19 01:29