記事の冒頭は、昨年2017年の早春におこなわれた森友国会の描写からはじまる。
〈委員会室で10数メートル先に座る首相の安倍晋三の秘書官の一人が佐川氏に歩み寄り、1枚のメモを手渡した。
「もっと強気で行け。PMより」
「PM」は「プライムミニスター(首相)」、即ち安倍首相を指す官僚たちの略語である。〉
もっと強気で行け──。「交渉記録はない」など昨年の2月24日から突如、強気な答弁を連発するようになった佐川氏の裏には、安倍首相自らの“指令”があった、というわけだ。
じつは佐川氏にこうした“指令”がかけられているのではないかという疑惑は、当時から記者のあいだで話題になっていた。それほどに佐川氏の答弁は官邸の方針と一体化していたということなのだが、これは森友問題の佐川氏にかぎった話ではなかった。
実際、先月発売の「週刊ポスト」(小学館)3月2日号でも、この「PMメモ」の存在を記事にしていた。このなかでは、「某省の国会担当」がこう証言している。
「関係省庁の幹部がモリカケ問題の答弁で細かい手続きを説明すると、途中で“もっとはっきり否定せよ”といったメモが入る。そこには“PMの指示”と書かれていて、総理からダメ出しされているという意味だ。メモがくれば幹部は飛び上がって指示通りに答弁する」