おそらく、佐川氏が森友側に「トラックを何千台も使ったと言ってくれ」とでっちあげまで求めて、“8億円値引きの根拠がゴミ撤去費用”であることを主張したがったのは、自分の答弁を正当化するためではないだろう。じつは、その裏には、安倍首相自身の意向があった可能性が高い。
そのことを図らずも示唆してしまったのが、きょうの国会で「バカか!」と財務省を罵り、財務省への責任押し付けをはかった西田議員だ。西田議員は昨年4月18日付の朝日新聞の記事で、森友問題をめぐって、安倍首相から“8億円値引きの正当性”を説明できるような質問をするよう、指示を受けていたことを明かにしているのだ。
その記事によると、西田議員は昨年3月2日に安倍首相から電話がきて、「西田さんは大阪問題でやりたいだろうけど、それを頼んだのが安倍だと言われたら、なんにもならないからさ」と言われたと語っている。西田議員は、質問内容について安倍首相自ら注文を付けることは初めてだったといい、直接電話がかかってくること自体が「異常やねん」と述べている。
そして、このとき、安倍首相は西田議員に〈土地が約8億円値引きされたことの「正当性」を、質疑を通してうまく説明してほしい〉と指示したというのだ。
実際、この電話から4日後の3月6日におこなわれた参院予算委員会で、西田議員は8億円値引きが正当なものだと主張し、それを受けて安倍首相も「西田昌司委員のこれは答弁で明らかになっている」「いままでの政府の答弁ではすとんと落ちないことがあったのは事実だが、きょうのやり取りで(8億円の値引きの根拠が)先ほど証明された」などと強調。これに対して質問に立っていた蓮舫議員が「政府のなかでしっかりと行革大臣に指名をして調査チームをもって明らかにしていただきたい」と求めると、「蓮舫さん、午前中の西田さんとのやり取り聞いていなかったんですか?」とまたも西田質疑を根拠にし、「ディスカウントするのは言わば当然」とまで言い切ったのだ。
この安倍首相の強気な姿勢は、すでに決裁文書に書き記されていた昭恵夫人の名前をはじめ、「特例」「特殊」という取引の異常性を示す文言を消し去り、今後の主張の方向性が決まっていたからこそのものだろう。そして、地中に8億円のゴミがあるのかどうかを直接調べることもなく、弁が立つ西田議員に答弁内容を直接指示してまで土地取引を正当化させたのが安倍首相だったという事実は、すなわち安倍首相が佐川氏の口裏合わせや文書改ざんを把握し、その犯罪行為の中心にいたことの証明ではないのか。
実際、明日発売の「文藝春秋」には、森友国会のさなか、安倍首相が秘書官を通じて、佐川理財局長に「もっと強気で行け」というメモを渡していたという衝撃的なエピソードが掲載されているという。
安倍首相はきょうの答弁でも「私も妻も関わっていないが、そうだという証拠や証言はない」などと述べたが、昭恵夫人の名前は文書内にしっかり記され、昭恵夫人に言及したあとには必ず取引が前進するという、その存在の大きさが伺える内容になっていた。それを改ざんによって消してしまっていたという事実が露呈してもなお「証拠はない」と断言するとは、国民を愚弄するにも程がある。「バカか、本当に」と言うべき相手は、安倍首相だ。
(編集部)
最終更新:2018.04.10 02:48