ケント・ギルバート氏といえば、近年、急激に右旋回して“安倍応援団”の一員となった元タレント。後述するが、加計学園問題についても、政権擁護の立ち位置から言論活動を行ない、ネット右翼から絶大な支持を集めている。そのケント氏が、なぜ角帽まで被り、岡山理科大の入学式の来賓席にいるのか?
本サイトは早速、岡山理科大学に電話で事実確認をした。
「ケント・ギルバートさんは、今年度から本校の客員教授になられました。定期的な授業ではなく、年に数回、特別なかたちで、特別講座というかたちで講義をなさることになると思います」(岡山理科大学担当者)
続けて、そのケント氏が年に数回担当する予定という「特別な講座」の内容について聞くと、「まだ決まっていないと思います」(同担当者)という回答。いずれかの学部に所属するのではなく、大学全体の「客員教授」という位置付けだという。
いずれにしても、ケント氏はいつのまにか、加計学園の大学で、曲がりなりにも「教授」の名称がつくポストに就任していたのである。これはちょっと、驚きではないか。
繰り返すが、ケント氏といえば、加計学園問題でも政権を擁護し、追及するメディアをバッシングしてきた御仁。たとえば、「zakzak」(夕刊フジ)の連載(2017年7月15日)では、〈最近の一部の日本メディアの偏向ぶりはひど過ぎて、もはや笑いごとでは済まされない〉として、加戸氏の国会での発言と国家戦略特区をめぐる議事録を読むと〈「加計問題=フェイクニュースだ」と誰でも理解できる〉と主張した。
また、昨年7月29日の同連載では、〈ここ数カ月の「加計学園」問題に関するテレビ報道の偏向は、タガが外れたとしか思えない〉と述べ、疑惑を追及するテレビメディアを攻撃。〈番組制作者やコメンテーターの偏向ぶりは、日本が憲法を改正して「普通の国」になることを阻止したい外国政府の工作員か、女や金の問題で弱みを握られた「敵の手先」としか思えない〉なる妄想をぶちまけていた。
また、ケント氏は例の“報道圧力団体”「放送法遵守を求める視聴者の会」の理事の一人。「視聴者の会」は昨年8月22日付の読売新聞、産経新聞朝刊に「異常に歪んだテレビ報道」などと題した“意見広告”を出稿。加計学園問題で、ネトウヨや極右文化人たちの主張そのものである「なぜ前川喜平氏ばかり取り上げて、加戸守行氏の発言を報じないのか!」なるトンデモ主張をぶち、〈テレビ局のみなさん、国民の知る権利を守るために、放送法4条を守ってください〉などとがなりたてていた。
この意見広告がいかにトンデモであったかは、当時、本サイトで詳しく解説している(https://lite-ra.com/2017/08/post-3408.html)ので、そちらを読んでもらいたいが、ようするに、こうした活動をしてきたケント氏が、ちゃっかり、加計学園と利害を共有する関係に収まっていたのだ。まさか客員教授にまで迎えられていたとは……。加計学園擁護に対する“ご褒美”だと世間に受け止められてもしかたがないだろう。