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足立区立中学の「妊娠防ぐための性教育」に自民党の都議が圧力! 背景に安倍首相と一派の性教育否定思想

 この問題は、東京都日野市にある都立七生養護学校(現・東京都立七生特別支援学校)で、知的障がいをもつ児童に対して行われていた性教育の授業内容が問題視され、校長や教員らが処分を受けた事件。

 この七生養護学校では、生徒による性的な問題行為が発覚したことを受けて、性器がついた人形を用いるなど先進的な性教育を行っていた。この指導が都議会で問題とされ、石原慎太郎都知事(当時)も「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしている」と答弁するなど大きな問題に発展した。

 そして、古賀都議を含む3人の都議会議員が七生養護学校を視察したうえで「こういう教材を使うのをおかしいと思わないのか」などと学校側を強く非難。結果として、前述したように学校関係者が処分を受ける結果となった。

 また、この動きは東京都だけにとどまらなかった。自民党は05年に「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を発足させ、〈「ジェンダーフリー」という名のもと、過激な性教育、家族の否定教育が行われている〉として教育現場への圧力を強めたのだが、そのときの座長は安倍首相だった。しかも、安倍首相は自民党本部で開かれた「過激な性教育・ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウム」にてジェンダーフリー推進派について「私はカンボジアで大虐殺を行ったポル・ポト派を思い出す」と無茶苦茶な発言をしている。

 さらにとんでもないのが、安倍首相の側近、山谷えり子参院議員だ。山谷議員は、安倍首相が座長である「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の事務局長を務め、オープンな性教育を徹底批判。そして、教育現場は完全に萎縮して性教育を封印した。

 その張本人である山谷議員に迷いはない。13年に放送された『ニッポンの性教育』(中京テレビ制作、第51回ギャラクシー賞優秀賞受賞作)の取材で、山谷議員は性教育のあり方について、このような持論を展開しているのだ。

「本当に子ども時代はですねえ、ちょうちょが飛んでいる姿、お花がキレイに咲く姿、昆虫が一生懸命歩いている姿、それで命の尊さというのは私達は十分学んできたんですよね」

 昆虫や植物を見て性を学べ。思わず呆然としてしまう回答だが、ディレクターが「具体的なことは教える必要はないということですか?」と質問。すると山谷は「本当は結婚してからだと思いますね、はい」と答えたのだ。この珍回答には「ちょうちょが飛んでるのは議員の頭の中」と、ネット上でも失笑を買う事態となった。

 前出の古賀都議だって似たようなものだ。彼は「家庭と社会の再生の為、今一度、純潔教育(自己抑制教育)の価値観に回帰すべき」と主張している。だが、インターネット普及以降の世界では子どもたちが日常的に大量の性的な情報に晒されていることや、それらの情報のなかには鵜呑みにしては危険なものも多数含まれているといった「現実」を無視し、正しい知識が得られないことによって不利益を被るのは、他ならぬ子どもたちだ。

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