しかし、この松井氏の解説がよほどお気に召したのか、それまでもっぱら質問とリアクションしかしていなかった松本がここで、とんでもない珍説を披露した。
佐川氏や財務省の独断という解説を受けて東野が「でも誰かやっぱり、政治家が責任を取らなければいけないっていうふうに考えますよね」と、“政治家が責任を取る事態になるのではないか”と予測すると、松本はこうたたみかけたのだ。
「うーん、これを逆に取られる場合もありますよね。安倍さんの足を引っ張るために、っていう裏の読み方も(ある)」
つまり、森友学園問題も、そして今回の文書改ざんも、安倍首相を貶める策略だった。松本はそう言いたいらしい。いくら、安倍首相が大好きだからといって、こんなありえない陰謀論までもち出すとは……。しかし、松本の意見に逆らえないという空気が充満しているスタジオにあっては、このトンデモにも批判を口にする者は誰もいない。政治家の指示について「現実にありえない」を連発していた松井氏も松本の謀略説には「そういうことをやろうと思えばできる事態になっていると思いますね」と、なんと“御意”の姿勢を示してしまったのだった。
その後も勢いづいた松本は、昭恵夫人がFacebookで「野党のくだらない質問」に「いいね!」をした問題でも露骨に擁護を始める。
まず、「僕のことを褒めてるのをたまに『いいね!』しますけどね」と茶化した松本。そのあと、志らくが「野党の辻元(清美)さんとかが引っ張り出してきて、これを国会で、どうして『いいね!』を押したかを聞きたいって、国会ってそんな場所じゃない!」と得意気に野党批判をすると、それに全面的に同意して、親指を上下にしながら「これか、これだけのことですからね」と、ジェスチャーで問題を矮小化してみせたのだ。
さらに、財務省がゴミの虚偽報告書を書かせていたという疑惑に話が及ぶと、松本はそれを遮るように、こんなことまで話し始めた。
「これはいま一番小躍りしているのが石破(茂)さんじゃないですか。石破さんが小躍りしているのを想像したらちょっと気持ち悪い」
スタジオはこの発言に大笑いをしていたが、これ、笑っていい話ではないだろう。松本はこの改ざん問題の発火源であり、責任者である安倍首相を一切批判もギャグにすることもしないくせに、安倍首相の政敵についてはギャグというかたちで悪印象を強調、安倍首相への追及をそらせようとしたのだ。これは明らかに政治目的をもった世論誘導以外の何物でもない。