『バイキング』ではその後もほぼ一方的な米山バッシングが続いた。そもそも、松井氏が問題視した米山県知事の発言は、松井氏ではなく橋下徹前大阪市長を示唆して〈異論を出したものを叩きつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足する〉と批判したものだったのだが、番組では、それに到るまでの“米山VS橋下の遺恨”を、やはりツイッターでのやりとりを紹介するかたちで解説。
そのやりとりは、2017年3月、森友問題に関して橋下氏が、〈事実確認もせずに国会で(籠池泰典氏と)無関係と言い切った稲田さんは政治家としてアウト〉としつつ〈しかし蓮舫さんも二重国籍問題で全く同じことをやった。稲田さんが辞任なら蓮舫さんも辞任。民進党、追及するか?〉とツイートしたことに、米山氏が〈そもそも別問題〉〈立場上あまり言いたくもありませんが、ご都合主義が過ぎるかと思います〉などと反論したもの。
これに対し橋下氏が激怒。〈ほんとこんな頭の悪い知事を持って新潟は大丈夫か?頭だけじゃなくて人間性も最低だけど〉などと口汚く攻撃したのだが、坂上からこのやり取りについての感想を求められた宮迫博之は、やはり橋下氏を露骨なまでに擁護したのだ。
「米山さんが『ご都合主義』とか言うことで、まず火をつけているわけですよね、橋下さんに。だから橋下さんの性格上、こういう返しになってしまうのも(しかたがない)」
続けて東国原が大げさに身振り手振りを交えながら、さも米山県知事の“積年の怨み節”がバトルの原因かのようにこう印象付けた。
「これは米山さんがまだ県知事になる前に、つまり浪人してたときに私人として、(一方で)橋下さんは公的な立場、市長だったり府知事、そんときに米山さんはやっぱり、ちょこちょこね、ちょっかいを出している」
「でも米山さんは私人だからほっておこうと橋下さんはしてた。でも(米山氏が)県知事になったので、公人と公人の立場になったので、ネチネチこれ以上言われるとややこしいから、法律的に訴えて白か黒か決着つけましょうというのが今回の(騒動)」
いやはや、係争中の案件に対し、『バイキング』はここまで橋下氏や松井府知事に肩入れして大丈夫なのか? 言っておくが、米山県知事に対する批判は好きにすればいい。しかし繰り返すが、問題は、坂上にしても東国原にしても、番組ではもっぱら米山県知事のほうを悪しざまに言う一方で、この騒動の本質である、政治権力がネット上の言論に対して濫りに訴えることの危険性にはただの一言も触れなかったことだ。