ようするに、石田が言いたいのは、結婚していない、子どもをつくっていない女性が必ずしも強い意志をもってその選択をしたわけではないということだろう。とくに理由がなくても、結婚することもあればしないこともあるし、子どもをもつことももたないこともある。ところが、世間は結婚して子どもがいることが普通で、そうではない人にはなぜかと理由を求め、暗に「結婚する普通」を選択しろと迫る。
実際、石田に対しても、いまだに「結婚はどうなっているのか」「なぜ結婚していないのか」を問い詰めるような芸能記事が後を絶たない。つい先日も、「女性セブン」(小学館)が「石田ゆり子が3億円豪邸を新築、気になる同居相手」と題して、CMで共演しているだけのムロツヨシの名前をあげ「まだ恋仲ではなさそうです」などというワケのわからない報道していたが、これも「結婚もしていない女性が豪邸を建てるはずがない」という偏見の表れだろう。
石田ゆり子は同書のなかで、結婚、出産して初めて一人前という考え方は「古い」と語っていたが、その古い考え方はいま、なくなるどころか、少子高齢化のスケープゴートとして、強制力を増している。さらに、安倍政権に至っては、2018年度の所得税改革において、子どもがいない世帯の増税案まで検討しているという。
そんななかで、バリキャリ的なキャラでない石田のような女性がこの風潮に異を唱えることは、「たまたま結婚していない」多くの女性を理不尽な抑圧から解放する一歩となる。石田にはこれからもこうした発言を積極的に続けていってほしい。
(本田コッペ)
最終更新:2018.10.18 01:53