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蒼井そらが結婚報告ブログで明かしたAV女優の経歴への「後ろめたさ」…紗倉まなもコラムでセカンドキャリアへの不安を

 その典型的な例が、「週刊現代」(講談社)16年6月11日号で報じられた、ゴールドマン・サックスから内定をもらっていた女性が大学時代にAV女優として活動していたことが明るみになり内定取り消しとなった事件だろう。

 記事では、AV出演の過去を知った後に会社が内定者の周辺情報を改めて洗い直したところ、私生活で就業規則に反するものがあったことからの内定取り消しであるとされており、直接的にAV出演が原因ではないと書かれていたが、そもそも、AV出演をきっかけに周辺情報の洗い直しが行われたということ自体が不自然な話で、その説明には何とも腑に落ちないものがある。

 こういった例は枚挙に暇がない。AVに出演していた過去(といっても、本人にはAVであることを知らされずバラエティ番組のようなものだと説明されており、内容もただ飴を舐めているだけなのだが)が明るみになり出演番組をすべて降板、勤めていたテレビ愛知からも去ることを余儀なくされたアナウンサー・松本圭世氏の騒動、過去のAV出演歴が発覚して人目につかない管理部門の部署へ配属になった小学館の新卒女性社員のケースなど、現在でもまだまだAVに携わった人々をまるで犯罪者のように扱う偏見はなくなってはいない。

 そんななかでも、特に矢面に立たされたのが、日本経済新聞の元記者で、現在は社会学者として文筆活動をしている鈴木涼美氏だろう。彼女はAV女優として70本以上の作品に出演していた過去を「週刊文春」(文藝春秋)に書き立てられ、大きな波紋を呼んだ。

 鈴木氏が日本経済新聞社を退社したのは、「文筆業との両立に時間的/立場的にやや無理が生じたため」であり、会社側からの懲戒処分ではないとしているが、それでもAV出演の過去が発覚したときは厳しい対応を受けたらしく、「元勤務先からも『日経のブランドに傷をつけた』など、やっぱりいろいろ言われました」(「SPA!」16年3月8日号/扶桑社)と語っている。

 16年10月に当サイトが行ったインタビューでは、AV出演者の人権を守るための団体「表現者ネットワーク(AVAN)」代表で、元AV女優・官能小説家・怪奇作家の肩書きをもつ川奈まり子氏が、自らの体験談も交えつつ、AV女優が社会のなかで受ける偏見や差別についてこのように訴えていた。

「AV女優たちの一番の悩みはヘイトクライムです。住んでいるアパートを追い出されるとか、仕事をクビになるとか、職場でイジメに遭うとか。会社でAV女優だった過去がバレてレイプされそうになったという相談すら受けたことがあります。
 私もライターとして連載させてもらっている媒体から『川奈さんがAVに出ているなんて知りませんでした。今後の取引は中止させていただきます』と言われたり、編集部は大丈夫でもスポンサーからNGが入って仕事がなくなったりと職業差別を受けてきました」

 言うまでもなく、彼女たちは犯罪を犯したわけでも、道義的によからぬことをしたわけでもない。ただ、アダルトビデオに出演していたというだけだ。それなのにも関わらず、なぜこんなにも強いスティグマを内面化させられなければならないのか。ある特定の職業に従事していた者に対して、公然と偏見や差別の目が向けられている現在の状況は看過していい問題ではないだろう。

最終更新:2018.01.29 01:49

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