日本軍が韓国はじめアジア各地に慰安所を設置し、現地の女性をかき集めていたことは、中曽根康弘元首相も手記で得意げに語っていたように、歴史的な事実だ(過去記事参照)。
しかし、安倍首相は、若手議員のときから「(慰安婦だという人の中には)明らかに嘘をついている人たちがかなり多くいる」「実態は韓国にはキーセン・ハウスがあって、そういうことをたくさんの人たちが日常どんどんやっているわけですね」(『歴史教科書への疑問─若手国会議員による歴史教科書問題の総括』より、勉強会での安倍の発言)と主張するなど、露骨なまでの慰安婦否定論者であり、首相になってからは「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定するなど、慰安婦問題を矮小化することに血道を上げてきた。
そして、安倍首相にくっついている自民党の極右政治家連中も同様に、慰安婦の軍関与を否定し、「慰安婦は金目当ての売春婦」というような誹謗中傷、デマをふりまき続けてきた。
こうした姿勢は第二次政権で「当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」「安倍内閣総理大臣が心からおわびと反省の気持ちを表明する」とした2015年日韓合意の後もまったく変わっていない。
前述した軍関与の否定や誹謗中傷はもちろん、朝日新聞の誤報をあげつらうことで、あたかも慰安婦問題そのものがでっちあげであるかのような印象操作まで行なってきた。
少女像の設置運動の高まりは、こうした安倍政権への反発という部分が非常に大きい。日韓合意への反発も同様だ。実際は、安倍首相に反省のかけらもなく、米国のご機嫌取りのために10億円支払ってやったというくらいの認識しかないことを韓国国民に見透かされているのだ。
日本のマスコミは他国の「約束不履行」をなじる前に、まず、自国のトップのグロテスクな歴史修正主義を批判すべきではないのか。
(編集部)
最終更新:2017.12.29 05:14