ブラック企業の経営者には、大きく分けて3種類のタイプが存在すると思う(異論は認める)。
1つめは、自身の労務管理が違法であると自覚した上で、しかし儲けるためにそのことを利用する生粋のブラック経営者である。このタイプはズル賢く、法の抜け道やどうやったら労基署に睨まれないかといったことを考えたりもする。イメージとしては、IT業界などの新興産業に多い印象がある。
2つめは、社長=万能と勘違いしているタイプである。最近、「会社の法律は俺だ」などと豪語したエステサロン経営者が話題になったが、彼はそのタイプであろう。この連載に登場するのも、このタイプが多いかもしれない。このタイプは、往々にして墓穴を掘ることも多く、裁判などで自滅することもしばしばある。中小企業のワンマン社長にこのタイプが多い印象である。
そして、3つめは、自分のやっていることの違法性がよくわかっていない、いや、そもそも「適法なのか違法なのか」といったことをあまり考えないタイプである。このタイプには、悪意がなく罪の意識も薄い場合がある。優しい性格だったりもするので、働く人の側もブラックであると認識していない(認めたくない?)場合もある。
しかし、ブラックはブラック。黒は黒である。今回は、もしかしたら最も多いかもしれないこの3番目のタイプの事例を紹介したい。
ブラック企業といえば1番目・2番目のタイプを思い浮かべがちだが、読者の皆さんも3番目のタイプの被害に遭っているかもしれないことを注意して欲しい。