松本のこうした安倍擁護に特徴的なのは、松本自身が安倍政権の政策の問題点がまったくわかってないのに、政権側の主張を鵜呑みにして、反対派を攻撃していることだ。たとえば、安保法制については、憲法に違反しているだけでなく、逆に米国の戦争に巻き込まれるリスクが指摘されているのに、松本はそのことを無視し、「安倍さんに反対するのは意見じゃない」「平和ボケ」と上から目線で説教を繰り返した。挙句、リスクをもたらす法案は不要だと反対しているだけなのに、「対案を出さないのはずるい」。ようするに、この男は、政策論議に対案が必要なケースと不要なケースがあることすら、わかっていないのだ。
TPPも同じだ。今から振り返ると、甘利氏が大臣をやめたら、TPPが成立しなくなって、何兆円もの損失になるなんていうのは笑い話としか思えないが、松本はそんな政権の宣伝を信じ込んで、真顔で「甘利さんを辞任させるのは損失だ」などと主張していた。
共謀罪についても、テロ防止に効果がない、不備だらけだという話なのに、松本はなんの根拠もなくテロを未然に防げると言い切り、そのためには冤罪もしようがないとまで口にしている。
あげくは、加計問題にまで「野党がポイントずれてる」「対案出せ」である。いったい加計問題でどうやって対案を出すのか?
この中身のなさをみていると、松本はとにかく、個別の政策云々でなく、安倍首相を擁護したいだけとしか思えない。知識がないから、「対案を出せ」という言葉を使って、反対派を封じ込めているだけだろう。
その姿勢が全開になったのが、 昨年、安倍首相みずからが『ワイドナショー』に出演したときのことだろう。そもそも、数多ある政権御用番組の中から、安倍首相が『ワイドナショー』をチョイスする時点で、この番組がいかに、政権擁護番組かがよくわかるというものだが、松本はこの日、テーマ選びから質問内容まで”接待”としか言いようのなかった番組のなかでも、突出して、安倍首相に平身低頭し、媚びまくっていた。
何しろ、安倍首相に一言、とふられた松本はこんな安倍首相が大喜びするようなネトウヨ発言を口にしたのだ。
「僕やっぱりあのー、おじいちゃん子だったんですね。で、小学生ぐらいのときにまあ僕のおじいちゃんは亡くなったんですけど、でもおじいちゃんのことが大好きで、やっぱりおじいちゃんたちが守ってきたなんかこの日本ていうのが僕はやっぱり大好きなんですよ。ついつい人は未来のことばっかり言うんですけど、でもなんか過去の人たちが今の日本を見たときに、ああよかったなあ、がんばっただけのかいあるなあて思ってもらわないと、これはもう未来なんてないと思うんですね。だからなんか僕はこう……なんつーんですかね、どこの国にも指図されたくないし、もうどこの国にも謝ってほしくないなって思うんですよ」