小池代表との実質的な決別と思われたが、しかし嘉田氏は不可解なことに小池代表批判、そして「その決意に感動」と絶賛していた前原氏への非難を口にすることはなかった。再稼動容認発言が出た翌日(10月4日)、筆者は電話で「それでも希望を支援するのですか」と聞いたが、「コメントできない」という答えしか返ってこなかった。そして、滋賀県大津市での立候補会見(10月2日)でも、私の質問に対し煮え切らない回答を繰り返していた。
──前原代表は「安倍政権打倒をするために全員公認、排除されることはない」と言ったのに、(小池代表は)それをひっくり返して(民進前議員は)騙された形になっているのですが、この事態についてはどうお考えでしょうか。
嘉田氏 それは──。
──「前原代表はおかしいではないか」と(批判しないのか)。「リベラル派と棲み分け(候補一本化)をする」という約束と取って(希望がリベラル派を)排除するのなら分かるが、このままだと2012年の二の舞になってしまうのではないか。
嘉田氏 それは前原代表に聞いて下さい。
──そこまで話をしないと、安倍政権打倒につながらないのではないか。
嘉田氏 私がコメントをする権限があるわけではない。
10月2日の出馬会見で前原代表を絶賛した嘉田氏は、小池代表に対して苦言を呈するのではなく、自らと重ね合わせながら高く評価していた。産経新聞の質問に対して次のように答えていたからだ。
嘉田氏 小池さんへの印象ですが、(環境派知事でグリーンがシンボルカラーの共通点があるのは)たまたまではなくて、私は最初からグリーンなので、「グリーン革命を滋賀から始める」(と訴えてきた)。小池さんはやっぱり女性政治家として、本当に私も「二束のわらじ」と言われて2012年12月は大変でした。知事と「未来の党」代表を(兼任)して。そういう経験をした人間は少ないと思うのですが、小池さん、いま期待をして、女性政治家として成果を出していただきたいと期待をしております。
正直言って唖然とした。言うべきことを言っていないと思ったからだ。未来の党代表時代を小池代表(都知事)と重ね合わせるのなら、5年前の悪夢再来(野党乱立)になると警告しないのか。納得がいかなかったので、写真撮影後に再び嘉田氏を直撃した。