ところが、ネトウヨたちはマツコのこの発言に激高。ネット上にはマツコをディスるこのような言葉が氾濫しているのだ。
〈なんだこのデブ男が!!共産党の回し者か!最近、売れてきて、なんでも言いたい放題だから、調子のってんじゃないのか!!お前がバカだろ。〉
〈不快過ぎて見るのが辛いほど。多分台本なのだろうけど、そんなこと視聴者は知らない。自分の意見として責任を持て!マツコ・デラックスには心底失望した。とにかく安倍総理はディスれというオーダーなんだろう。安倍総理のどこが馬鹿?具体的に言ってみなさいよ。〉
〈安倍総理よりマツコ・デラックスのほうがバカでアホで病気やと思いますよ。そんなやつにこれを言わせてるテレビが異常。〉
マツコは小池百合子も「小物」と批判しているが、安倍批判だけが炎上しているところに、ネトウヨの安倍妄信とミソジニーが表れているが、それはともかく、マツコが安倍首相を批判したのは、別に今回が初めてではない。
たとえば、昨年8月22日放送『5時に夢中!』では、リオ五輪閉会式における「安倍マリオ」について、「突き抜けていないよね。恥ずかしいんだったらやるんじゃないよ! すぐ脱ぐんだったらやるな、断れって話。ヒゲもないし中途半端」と語っていた。
「EX大衆」(双葉社)14年12月号掲載のコラムではもっと的を射た批判を展開している。そのコラムのなかでマツコは、「アベノミクス」のお題目の一方、実際に行われていることは結局、バカの一つ覚えのように公共事業に投資し続ける、昭和の時代から何も変わらない化石のような手法でしかないと喝破した。
「結局、安倍さんのやろうとしている経済政策って、おじいちゃんの時代とほとんど変わらないんだよね。
東京五輪で莫大な経済効果がもたらされると思い込んでいることもそう。巨大インフラ整備や公共事業投資に力を入れれば、再び日本経済が右肩上がりになるって信じているのね。信じているというか、それしか術を知らないというか」
「安倍さんも結局、既得権益を持つ人たちとは仲良くしていたいのね。所詮は、昔のやり方と同じことやっているのよ」
アベノミクス批判に、安倍首相の心に巣くう「おじいちゃんコンプレックス」までも軽く浮き彫りにさせたキツい一発。しかし、こうした批判については、あまりに的を射ていて、ぐうの音もでなかったのか、これまでたいした炎上はしなかったし、安倍応援団から批判の声もあまり上がらなかった。
ところが、今回の「馬鹿の象徴」発言については、ネトウヨは大袈裟に騒ぎ立てている。どうも、連中に言わせると、「馬鹿」という言葉が「名誉毀損」だというのだ。
いや、ネトウヨだけではない。したり顔の中立厨もこんなことを言い始めている。
〈これは酷いなぁ…
公共の電波で安倍総理を病気とか言っちゃってるけど、これって名誉棄損で訴えられるんじゃないの?
一般常識では言っちゃいけないと分かると思うけど芸能人だとタガが外れちゃうのかねぇ?〉
こういった意見の人たちはとんでもない勘違いをしている。一国の総理大臣を「馬鹿の象徴」と評しようとそれは「名誉毀損」でもなんでもない。むしろ、権力者であるからこそ、「馬鹿の象徴」と評されることは積極的に認められるべきである。それは、過去の判例から裁判所が法的に認めていることでもある。