——アメリカでは……
司会 繰り返しになっていますので。
——アメリカでは150人の兵士が……
田中委員長 そういう演説は聞いてもしようがないから。
——アメリカでは150人の兵士が原発を守っているのですが。
司会 質問をお願いいたします。質問ありますか。
——あります、あります。日本の原発テロ対策は不十分だと認識なさっていないのですか。アメリカでは150人の兵士が原発を守っているのですが、今のあまりに貧弱な体制で放置していいと考えてられるのでしょうか。
田中委員長 日本のテロ対策をあなたはどこまでご存知だか知りませんけれども、それはあなたの主張として聞いておきます。
さらに再質問を続けようとしたが、近づいてきた職員が私の手からマイクと取り上げるとほぼ同時に、司会者が「それでは、本日の会見は以上としたいと思います」と会見を打ち切った。
これが「原子力規制委 柏崎刈羽、審査合格へ」(毎日新聞)、「東電・柏崎刈羽原発、『合格へ』」(読売新聞)などと報じられた6日の規制委員会後の田中委員長会見の質疑応答だ。
米朝関係の緊迫化=原発攻撃のリスク増大に目を向けずに、北朝鮮が対岸の北陸地方に位置する「柏崎刈羽原発」の再稼働をしようとしているのだ。
あまりのノー天気さに唖然とした。会見後に「田中委員長は北朝鮮のことについて何か言っていないのか」と職員に再確認をしたが、「何も言っていません」と回答した。
田中委員長の態度は、原発テロ対策を含む日本の原子力防災に大きな“穴”が開いていることを浮彫りにするものだ。
北朝鮮との対決姿勢は繰り返し訴えるが、テロやミサイル攻撃に対して脆弱な日本の原発には無頓着な安倍政権と、規制委員会の無策、無関心。この現実を目の当たりした泉田氏が「自民党国会議員となって原発政策を変える」と意気込むのは分からないではない。
しかし原発推進の総本山の経産官僚が要職を占める“原子力ムラ内閣”の安倍政権が、一国会議員の主張を受け入れて政策転換をするとはとても思えない。泉田氏は「与党でないと声が届かない」と主張するが、経産省時代の先輩の古賀茂明氏は「寝言を言っているようなもの」と実現可能性は皆無と指摘。「野党系候補として出馬すべき。自民党から出たら落選運動を呼びかける」とも公言もしている。
泉田氏の去就はもちろん、自民党が“泉田原子力防災論”に基づく原発政策変更をどこまで約束するのか否かが注目される。
(横田 一)
最終更新:2017.09.14 11:38