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歴史教科書採択をめぐる学校への卑劣圧力、背後に日本会議の存在か! NHKクロ現に首謀者が登場し開き直り

 いったい、この人は何を言っているのだろう。そもそも、送り主を学校の出身者だと偽り「どこの国の教科書か」「共産党の宣伝か」「こんな母校には一切寄付をやめる」などと恫喝するのは、ほとんど犯罪的な行為ではないか。

 しかも、水間氏は「啓蒙」などとほざいているが、実際、南山高等・中学校女子部の教諭が語ったように、政治権力からの自由を目指す教育現場において、この抗議ハガキの存在は“圧力”として機能したのだ。また、NHKが実施した学校へのアンケートでも、「多様な思考力を育む教育を否定する動きに恐ろしさと悲しさを感じた」(東京の私立)、「全体像が分からないことに得体のしれぬものを感じる。学校現場が萎縮しないことを切に願う」(埼玉の私立)と、自由な教育の抑制を懸念する声が聞かれたという。

 つくづく、歴史修正の極右・ネトウヨ界隈のやり口の汚さ、そしてその開き直りっぷりにはヘドが出るが、一昨日の『クロ現』の放送内容で注目したいのは、水間氏のポストカードとは別の、もうひとつの圧力ハガキについても取材で掘り下げたことだ。すべて同じ文面で「この度、御校が採用いたしました学び舎の歴史教科書は、中学生用に唯一、慰安婦問題(事実とは異なる)を記した反日極左の教科書であるという情報が入りました。将来性ある若者に反日教育をする目的はなんなのでしょうか?」などと書かれたこのハガキは、実名で全国各地から送られていた。

 NHKは、このハガキを大量に配布し、送り主として名前を書くよう署名を依頼したという男性に接触。『クロ現』によると男性は「ある保守系団体」に所属しているといい、「教育の再生、正しい教育に取り戻していくと強い思いを持っている人はたくさんいますから。ひとつの国民運動としていきましょう」と語っている。

 番組では不可解にもぼかされていたが、状況を踏まえれば、これは日本会議、あるいは、これと連携する「日本教育再生機構」とつながっている可能性がかなり高いと考えられる。日本教育再生機構といえば、「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂した団体で、安倍首相のブレーンである八木秀次・麗澤大学教授が理事長を務めている。日本会議と日本教育再生機構はともに、子どもたちに愛国心を押し付ける道徳教育の充実を掲げ、連携して歴史教科書改悪運動を展開している。

 たとえば、『クロ現』では抗議ハガキの送り主のひとりとして石橋林太郎という自民党所属の広島県議にインタビューしているのだが、この県議は日本会議と深く関わる地方議員とみられる。実際、石橋氏のFacebookを見ると、日本会議広島が主催する講演会や、改憲フロント団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」関係の告知をしていたり、あるいは例の親学関連の団体にも部長として参加していることが確認できる。また、日本会議の事務方的存在である右翼運動団体「日本協議会」の理事長・多久善郎氏のブログにも石橋氏の名前が日本会議広島地方議員連盟の研修会の連絡先として出てくることからも、日本会議と密接な関係にある地方議員であることはまず間違いないだろう。

 また、今年7月、私立学校に対する一連の圧力問題をいち早く取り上げたドキュメンタリー『教育と愛国〜いま教科書で何が起きているのか』(MBS)では、同じく「この度、御校が採用いたしました〜」から始まる抗議ハガキを実名で送った政治家のひとりとして、山口県防府市の松浦正人市長を取材している。松浦市長は「教育再生首長会議」の会長を務めている政治家だが、同会議は、前述の日本教育再生機構と密な関係にある。

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