こうした懸念の背景には、男は定職について一人前になってから結婚すべきなどという古い固定観念があるのは言うまでもないが、もうひとつ大きな理由がある。
それは、皇族の減少と皇統維持という問題だ。とくに天皇の孫世代の男性皇族は眞子内親王の弟である悠仁親王だけで、女性皇族がすべて結婚して皇籍を離れたら、最終的に悠仁親王だけになってしまい、その後の存続も危ぶまれる。
そのため対策が断続的に議論されているが、代表的なのが、「女性宮家の創設」という案と、「旧宮家男系男子を皇籍復帰させる」という案だろう。男女平等の観点からも「女性宮家の創設」には国民の支持も高いが、ミソジニーな日本会議や安倍首相をはじめとする極右勢力は男系の伝統にこだわりこれに強く反対し、「旧宮家男系男子の皇籍復帰」を主張している。安倍首相のブレーン・八木秀次氏などは、その変形バージョンとして「旧宮家男系男子と女性皇族を結婚させる」などという、個人の意志を完全に無視したトンデモ案を提案しているが、安倍首相も今年にはいって「旧宮家の男系男子孫と結婚する女性皇族がいたら女性宮家を創設してもいい」と同種の考えをもらしていたという。前述したように「#眞子様婚約反対」というハッシュタグが「#安倍ちゃんがんばれ」と並んでいるのは、そうした背景もあるだろう。
あるいは、とりあえずの緊急措置的な対策として、「結婚後も皇族女子の身分を保持させる」という案や、「皇籍離脱後も公的な立場での活動を認める」案を、主張する識者もいた。
こうした皇室存続をめぐる様々な議論のなかで、いずれの立場からも、ひとつのメルクマールとなると期待されていたのが、眞子内親王の結婚だった。しかし、眞子内親王はそのいずれの制度改革をも待たず、結婚して皇籍を離れることを決断した。
今回の結婚バッシングの背景には、こうしたことに対する保守派の強い不満があるだろう。しかも、眞子内親王が結婚相手として選んだ小室氏が、国際基督教大学(ICU)の同級生で、皇室と縁もゆかりもない存在だったことから、ネトウヨや右派の不評を買っていることも容易に想像できる。