たしかに、内調が官邸の意を受け、新聞、週刊誌、テレビなどのマスコミにしばしば安倍政権の政敵のスキャンダルを仕掛けているのは有名な話だ。たとえば、不正献金問題で辞任した西川公也農水相(当時)の疑惑隠し、保育園対策の不備を追及した民進党・山尾志桜里議員の「ガソリン代計上問題」、翁長雄志沖縄県知事に対する「反日媚中バッシング」、SEALDsをはじめとする安保反対デモへの怪情報の数々、さらに蓮舫民進党代表のいわゆる「二重国籍問題」などなど、これらの大元はすべて、北村氏の指示で内調や公安に嗅ぎまわさせて、情報を御用メディアにリークしたことがわかっている。
しかし、その内調にしても、ネットに直接、投下していたという情報はこれまで一度も出てきていない。たしかに、第二次安倍政権が発足してしばらくしてから、とりわけ、政権スキャンダルの直後には、かならずと言っていいほど民進党のスキャンダルと称す「情報」がネットで飛び交うようになっていた。しかし、こうした情報はデマであることがほとんど。そのデキの悪さから、安倍応援団のネトウヨやネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)が自分でどこかから見つけて勝手に拡散していたものだと思われていた。
もし、今回の2ちゃんねるへの投稿が内調の仕込みだったとすれば、内調はネットでも謀略を散々仕掛けていたということになる。国家や国民の安全を守るための情報収集・分析が任務の機関が安倍政権の謀略機関になっていることは当メディアでも散々批判していたが、まさかここまで下劣な謀略行為をしているとは……。
いずれにしても、今回の「週刊新潮」報道は、山口氏によるレイプ事件もみ消しに官邸が関与している可能性をさらに濃厚にしたといえるだろう。山口氏が安倍首相の側近中の側近である北村情報官に事後対応を相談したことにくわえ、チャート図のようなカウンター情報を流したということは、まさに組織ぐるみで山口氏を擁護しようとしたとしか思えないからだ。
山口氏は依然として雲隠れを続けているが、公の場で説明すべきは彼だけではない。逮捕のもみ消しだけでなく、内調が詩織さんのバッシングまで扇動した疑惑が浮上していることについて、官邸がダンマリでは国民が許さないだろう。国家権力の関与によって、逮捕されるべき人が逮捕されないという異常な自体が起こっているのならば、もはやこの国は法治国家ではなくなる。決して闇に葬らせてはいけない。
(田部祥太)
最終更新:2017.12.05 02:06