「そもそも、これまでなら、安倍首相が『全国展開』なんていう馬鹿げたことを言い出すのを、事前に菅官房長官ら官邸幹部が止めていたはずです。ところが加計学園問題では、その菅さんが前川次官に対する謀略や『怪文書』発言で集中砲火を浴び、責任問題に発展してしまった。その結果、菅さんも安倍首相から切られることを恐れて、イエスマンぶりに拍車がかかっているんです。もともと萩生田官房副長官や和泉洋人首相補佐官は安倍首相に言われたことならどんなことでもやるタイプですから、もう本当に安倍首相の暴走を止められる人間がいなくなっている。どんな無茶苦茶なことでも、安倍首相が口にしてしまったら、それを実行するという体制になってしまっているんです」
もちろん、こうした実態は国民の間にすっかりバレてしまったし、マスコミも以前よりは「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、政権批判報道をやれるようになった。
しかし、政権側はそんなことはおかまいなしだ。安倍首相は疑惑をごまかすために次から次へとデタラメな政策を口にし、官邸と自民党はそのお言葉があると、「ご意向」を実現するべく、どんな乱暴なことも平気でやり始める。
たとえば憲法改正についても、前述の「獣医学部、全国展開」を打ち出した「神戸『正論』懇話会」で、安倍首相は自民党独自の憲法改正案を来年の通常国会ではなく、秋の臨時国会に提出する考えを示した。
具体的な議論がまったく行われていない段階での、性急すぎる計画に自民党内でも驚きの声が上がったが、実際、これも支持率低下に焦った安倍首相の独断で、「国民の間でも支持の多い自衛隊明記の条項を追加する改憲案をぶちあげることで、一発逆転を狙ったもの」(自民党関係者)だという。だが、自民党と官邸は驚いたことに、この発言を受け、わずか2カ月の議論で、改憲案をまとめようと本気で動き始めるらしい。
内閣支持率低下で「いよいよ安倍政権が末期症状か」などといった楽観的な見方もあるが、この調子では、安倍政権が潰れる前に、この国をむちゃくちゃにされてしまうかもしれない。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 01:46