一方、共謀罪の取りまとめ役となっている自民党法務部会長である古川俊治参院議員は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で玉川徹氏の取材に対し、「テロなんて言ってませんよ、この法律だって」「それはいろんな意味でですよ、テロだけじゃないですね」と明言。テロ対策以外の部分に共謀罪の「目的」があるのは明白だ。
しかし、自民党はそんな事実を一切無視してインチキを延々と書き連ねた後、冒頭に紹介した例のアジテーションを展開するのだ。
〈もちろん、フツーの人が捕まるなんてことはない。居酒屋とか、LINEとかで冗談言っただけで逮捕?!とかってツイートをたまに見かけるけど、こういうのは、まったくのウソ。「デマ」を流す人は、この法律ができたら困るから??〉
おいおい、「デマ」を流しているのはどっちだよ。LINEやメールでのやりとりによって共謀は成立するのかと問われた際、金田勝年法相は「手段は限定しない前提」と答弁。くわえて盛山正仁法務副大臣は一般市民が捜査対象になりうる可能性を認めている。
しかも、ただの花見か、犯罪の下見なのかをどうやって判断するのかという追及に対し、金田法相は28日、衆院法務委員会でビールと弁当を持っていたら「花見」で、地図と双眼鏡、メモ帳を持っていたら「犯罪の下見」などと驚くようなことを言い出した。これは双眼鏡を持って散歩に出かけただけで「犯罪の下見に違いない」と認定され、逮捕される可能性もあるという話で、つまり共謀罪は「フツーの人が捕まるなんてことはない」などと言い切れるような内容になっていないのだ。そして、何によって犯罪の下見か花見かを判断するかといえば、「内心」の違い、それだけだ。
さらに、前述した古川議員は、沖縄の基地反対運動も共謀罪が適用されることを口にしている。犯罪集団か否かを分ける「内心」とは、先にも述べたように護憲の訴えや政権の政策批判を指しているのは明らかだろう。