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高浜原発、再稼働判決の裏に裁判所と原発ムラの癒着が! 電力会社と政府の意を忖度し国民の命と安全を蔑ろにする裁判官たち

自由民主党HPより


 関西電力高浜原発3、4号機について、3月28日、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は大津地裁の命じた運転差し止め仮処分決定を取り消し、関西電力が訴える運転再開を認めた。今年3月の毎日新聞の調査でも、半数以上が原発再稼働に反対する結果が出たが、しかし、これで高浜原発2基の再稼働が可能となってしまったわけだ。

 高浜原発については、これまでいくつかの裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、2015年4月に福井地裁において「新規制基準に適合したとしても安全性は認められない」と再稼働差し止めの仮処分が決定されたが、同年12月には同地裁において、出された仮処分決定を取り消し、再稼働を容認。さらに16年3月、大津地裁が再び運転差し止めの命令を下していた。

 この際、大津地裁の山本善彦裁判長は「関西電力側の主張では安全性確保の説明が尽くされていない」と厳しい言葉で関西電力を批判。運転中の原発が裁判所命令で停止されたのは史上初で、原子力ムラに大きなインパクトを与える決定だった。

 だが高裁で一転、再稼働の容認。今回の判断は、大津地裁が危惧した過酷事故対策や、耐震設計の目安となる基準地震動(想定される最大の揺れ)についてなんら考慮されることなく、また「新規性基準は福島原発事故の教訓を踏まえた最新のもので、合理性がある」と福島原発事故後、原子力規制委員会が策定した新規制基準を単に追認したものだ。さらに、山下裁判長は「(電力会社が)新基準に適合することを立証した場合、基準自体が合法性を欠くことを住民側が立証する必要がある」と、新基準を盲信する形で原発の安全性の立証を住民側に押し付け。「周辺環境への放射性物質の異常な放出に至ることはまず想定しがたい」など、福島原発の甚大な事故の教訓を省みるどころか、事故など“なかった”かのような物言いまでしているのだ。

 今回の再稼働の許可は、まさに政府、行政、そして電力会社に司法が追随したものであり、“忖度”の末の暴挙といえる。そもそも今回の判断が大きく依拠する新基準にしても、これまで裁判所だけでなく専門家の間でも疑問が呈されてきたものだ。ヨーロッパの基準に比べても、日本の新基準の安全対策は緩く、実際、当の原子力規制委員会でも新基準は「安全審査」ではなく「適合性審査」と位置付けられている。その証拠に2014年7月の新基準発表の会見の際、原子力規制委の田中俊一委員長自身、「基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは申し上げません」となんども強調していたほどだ。さらに15年12月の福井地裁判決で再稼働した直後の16年2月には高浜原発4号機の原子炉が緊急停止するトラブルも起こっているのだ。

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