首相所信表明演説で紹介された東洋文化研究者のアレックス・カー氏は、ダムを壊して川が蘇る『ダムネーション』の映画上映会を兼ねた防潮堤シンポ(2015年2月22日)で日本の土建政治をこう批判した。
「アメリカでは『ダムの時代は終わった』のに日本の海岸は防潮堤をはじめコンクリートだらけ。『防潮堤ネーション』のような映画を望む」。すると、昭恵夫人もこう呼応した。
「防潮堤建設が進んでも『ダムネーション』のように、途中で見直して撤去することは可能。『今後は防潮堤を壊すことが公共事業になってくる』という人もいるくらいです」
しかし問題発覚するまで夫婦で共に評価(“家庭内与野党”で一致)した森友学園と違い、防潮堤見直しでは“家庭内野党”の昭恵夫人の訴えが実現することは多くない。
安倍首相の父親の安倍晋太郎・元大臣が生まれ育ったのは、美しい棚田の田園風景で知られる山口県油谷町だ。しかし美しい三陸海岸を台無しにする巨大防潮堤建設が今後も見直されることがなければ、安倍首相は「テロリスト紛いの国土(景観)破壊集団の“親玉”」と批判されても仕方がないのではないか。
(横田 一)
最終更新:2017.11.21 03:35