自由民主党HPより
事実上発効の可能性がほぼなくなったTPPの承認案・関連法案を強行採決するという恥を世界にさらしたばかりの安倍首相。だが、じつはアメリカ大統領選の前日にあたる8日にも、厚かましいにも程があるメッセージを発表していた。
それは、「日本の未来を担うみなさんへ」と題されたもので、子どもの貧困対策の一環として立ち上げた「子どもの未来応援国民運動」1周年の集いで公表された。その文章は、〈あなたは決してひとりではありません〉というポエム調の一文からはじまる。
〈こども食堂でともにテーブルを囲んでくれるおじさん、おばさん。
学校で分からなかった勉強を助けてくれるお兄さん、お姉さん。
あなたが助けを求めて一歩ふみだせば、そばで支え、その手を導いてくれる人が必ずいます。
あなたの未来を決めるのはあなた自身です。
あなたが興味をもったこと、好きなことに思い切りチャレンジしてください。
あなたが夢をかなえ、活躍することを、応援しています。
平成28年11月8日 内閣総理大臣 安倍晋三〉
原文はすべての漢字にルビが振られているように、このメッセージは子どもたちに向けられたもの。社会は君をひとりぼっちにしないよ、好きなことに挑戦して夢をかなえようね──。なんとも美しいメッセージだが、この文章では地域社会の人びとの支えが語られるだけで、メッセージ発信者たる安倍首相が子どもたちを「どんなふうに支えるか」は一切ないまま「応援しています」と言うだけ。
しかも、安倍首相はこの「子供の未来応援国民運動」1周年の集いで、こんな挨拶までおこなっている。
「様々な困難を抱える子供たちがいます。その勉強を助け、食事を出し、あるいは、落ち着いて居られる場所を用意する。そういった活動を支援団体の皆様に、是非、続けていただきたい」
「是非、続けていただきたい」という他人事感──。徹頭徹尾、安倍首相は子どもの貧困を政策として捉えず、地域と子ども本人の努力の問題として片付けようとしているのだ。