上・大阪府知事松井一郎公式サイトより/下・読売テレビ『そこまで言って委員会NP』番組サイトより
これが首長の発言として許されるものなのか。沖縄県の高江で進められている米軍ヘリパッド建設工事で、大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」と差別に基づいた暴言を吐いていた事件だが、今度は松井一郎大阪知事の姿勢に批判が集中している。
まず、松井知事は暴言問題が報じられた19日に、自身のツイッターで〈ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。〉と投稿。さらに翌20日には、報道各社からの取材に対し「もともと混乱地で、無用な衝突を避けるために、警察官が全国から動員されている。じゃあ、混乱を引き起こしているのはどちらなんですか」と、今度は反対派市民を非難したのだ。
公権力の行使者である警察が「土人」というあからさまな差別語を投げつけた問題が起こっているのに、府の代表たる松井氏がわざわざ機動隊員を労うことは差別の肯定と受け止められて当然だ。その上、「混乱を引き起こしているのはどちらか」という松井知事の発言は、醜悪以外の何物でもない。
普通なら完全に辞職ものだと思うが、しかし、大阪ではそういうことにはならないだろう。というのも、松井知事を糾弾すべき大阪のマスコミの多くが日本維新の会や松井知事の応援団と化しているどころか、テレビ番組のなかには、松井知事と同じような沖縄ヘイト肯定や沖縄へのデマ攻撃を垂れ流す番組があるからだ。
その代表が、明日23日に松井知事が出演予定の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)だ。『委員会』では、これまで何度も沖縄の米軍基地問題を取り上げ、そのたびに沖縄への偏見を隠そうともせず、同時に基地反対運動を根拠もなく貶めてきた。
たとえば、2013年11月3日放送分では、沖縄出身のジャーナリストであり元海上自衛隊の恵隆之介氏がこんな話をしている。
「沖縄県だけの暇人たちが反基地運動をしてるというような油断はしないほうがいい。そこには巧みに北京、あるいは平壌、ソウルの左巻きたちが入ってきているのは事実」
一体、どんな根拠があってこんな話をしているのか。だいたい、番組では恵氏をはじめ“沖縄の人は基地に反対などしていない”などと言うのだが、ならば県知事選のほか、選挙で一貫して基地反対派が選ばれてきたのはどういう理屈なのだろう。