しかし、安倍政権はこうした国産の武器輸出を成長戦略に組み込んでいるが、経済的にも上手くいく保証はどこにもない。昨年のオーストラリアの次期潜水艦共同開発交渉で、三菱重工と川崎重工が国とともに売り込みをかけるも受注を逃したことは記憶に新しい。
『武器輸出と日本企業』(角川新書)の著書のある東京新聞記者・望月衣塑子氏は、インターネット報道メディア「IWJ」の取材に対し、このように答えている(外部リンク:「IWJ」9月18日付http://iwj.co.jp/wj/open/archives/332339)。
「(政府が防衛装備を発注している)企業に対して、大量に株を買っているということが、まさに自分の身内のためにどんどん武器輸出をしなさいと言っているようなもので、利益相反じゃないですけど、利益を共にする企業の株を買い、そのための、自分たちの私腹を肥やすために株を買ったとも言えるような行動だと思う」
繰り返しになるが、稲田氏は安倍政権による武器輸出と国産化の舵取り役である防衛トップだ。その夫が、防衛省のサジ加減ひとつで利益が誘導されるような間柄にあるこうした大手防衛企業の株を保有していること自体、あってはならないことだろう。
そして、念を押すが、武器輸出は直接的に日本の技術が殺戮やテロに使われうることを意味する。だが、首相は武器を防衛装備と言い換えて死の匂いを消し、防衛相は国策に乗じて私腹を肥やす……。稲田氏の防衛株問題に沈黙するマスコミも含めて、この国は本当に行き着くところまでいってしまうのだろうか。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.24 07:13