このように、完全に“原子力ムラ”の中心人物として活動してきた増田氏だが、当然ながらこうした姿勢は政策提言にもフィードバックされている。現に、原発事故後の11年5月に設立された政策提言の民間会議「日本創成会議」の座長に就任したが、同年11月の第1回提言から“原発容認”を繰り出していた。
〈エネルギー政策に関する議論は、「脱原子力」と「原子力維持」という二項対立の中で立ち止まっている〉
〈日本は、国内外のエネルギー需要を踏まえ、当面、原子力発電を継続し、福島の経験を人類共通の「知」として公開し、世界の安全利用に貢献していくべきである〉
〈(原発は)最新技術のものにリプレース(置換)していくことを検討すべきである〉
さらに、同会議が14年9月に開いた消滅可能性都市にかんする講演では、増田氏はもっと露骨な発言を行っている。
「消滅可能性都市を免れている自治体は、いずれも若い人の雇用の場がきちんと確保しているという特徴があります。たとえば、米軍も利用している三沢飛行場がある青森県三沢市、原発施設がある青森県六ヶ所村です。それぞれ自治体ごとに理由はありますが、共通するのは所得の高い、若い人たちの雇用の場があるということです」(ハフィントンポスト記事より)
原発施設があれば、消滅可能性がある地域でも高い所得が得られ、雇用の捻出もできる──。つまるところ、増田氏が繰り返してきた「地方創生」というスローガンは、東電社外取締役という自身の立場から発せられていたのだ。
自分の利害で政策を提言するような人物が“クリーン”“実務家”とは、片腹が痛いというもの。冒頭にも書いたように、現在は石原伸晃・自民党都連会長による「増田氏以外を家族含め応援すると除名処分」という“オウンゴール”も手伝って増田氏は劣勢に立たされているが、結局、自民党の言う“クリーン”“実務家”はこの程度なのだということを、よく覚えていてほしい。
(編集部)
最終更新:2016.07.21 07:04