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沖縄米軍属の事件にも冷淡な態度の安倍首相…一方で米大学准教授がレイプ事件は基地があれば必然的に起きると指摘

 著者のヴァイン氏は言う。〈男は生まれつきの強姦者ではなく、軍でも大半の男性兵は、どれほど服従を強いられているかにかかわらず、性的暴行に及んだりはしない。だが人間の社会では、ある種の条件でレイプや性的暴行が起きやすくなる。そうした条件がおおむね揃っているのが米軍であり、世界の在外基地だ〉。

 しかし、いくらこのように危険ばかりを押し付けられた沖縄の人びとが声をあげ、どれだけ基地反対を訴え、選挙で民意を示しても、安倍首相をはじめとして“日本の安全のためには沖縄に基地が必要だ”と我慢を強いる者は後を絶たない。だが、本書では、その考えには軍事の専門家たちからも疑義が呈されていると述べる。

〈米軍の沖縄駐留に疑問をもちはじめた軍事アナリストはしだいに増えてきている。政治や社会的な理由ではなく、あくまでも軍事的な理由に基づくものだ。中国と北朝鮮のミサイルの射程距離や精度があがっているために、彼らの多くは、アジア大陸に近すぎる基地は攻撃を受けやすく、ほとんど価値がないとの結論に至っている〉
〈たとえ(中国と北朝鮮の)封じ込めと抑止の一環であったとしても、米軍の沖縄駐留は最適な編制とは思えない。たとえば、今や専門家の間では、海兵隊が沖縄に──論争の的となっている普天間基地や、議論されている移設先も含めて──駐留しても、抑止効果はほとんどないとの意見が多くを占める〉

 そうした意見があるなかで、アメリカは日本を金づるにし、一方の日本は多額の負担を自ら負い〈冷戦時代の属国的な地位のまま〉で文句を言わない。この現状を、著者は〈冷戦時の同盟を維持する根拠はもはやなく、日本はもっと自立を主張できる可能性をもっているし、東アジアにおけるアメリカの政治的、経済的、軍事的支配が中国その他の新興国に脅かされつつある新たな時代にあるというのに〉と日本の態度に疑問を示し、他方のアメリカの思惑を〈沖縄の基地にしがみつくことが、日本という操り人形を手放さないための、そして同時に、アメリカの政治的、経済的優位性を手放さないための手段となるのだ〉と解説する。

 自立を主張できる可能性──。もちろん、安倍政権はそんなことを露ほども考えず、思考停止で属国でいることを選んでいくだろう。

 だからこそ、参院選で沖縄はもう一度、民意を示す必要がある。そして、沖縄だけではなく国内全体で、米軍基地があることで生まれる悲劇や、アメリカとの不平等な関係に“怒り”をもたなければいけないのだ。翁長知事の「沖縄県民に自由、平等、人権、民主主義は等しく保障されているのか」という言葉の重みを、この悲しみの日に反芻したい。
(水井多賀子)

最終更新:2016.08.05 06:41

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