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沖縄米軍属の事件にも冷淡な態度の安倍首相…一方で米大学准教授がレイプ事件は基地があれば必然的に起きると指摘

 女性が殺害されるという痛ましい事件の発生から日も浅いうちに、どうしたらこんな鬼畜な話をしたり顔で世間に流布することができるのだろう。風俗が問題の解決になると考えていることや、このような事件を二度と起きてほしくないという思いから基地反対を訴える市民を〈人権侵害〉と言ってしまえることは、沖縄県民への、そして被害者への冒涜以外、何物でもない。

 沖縄では、1995年の米兵3名による少女暴行事件をはじめとして、女性たちが米兵によって傷つけられ、その果てに、無惨に殺害されてしまうというケースも数多く発生してきた。だが、このようなレイプ事件が起こるたび、沖縄がいくら怒りの声をあげても、橋下氏のように性風俗の活用などと言い出す者が現れた。

 しかし、これでは何も解決することはない。それは、レイプが発生するのは、たんなる性処理の問題ではなく、軍隊が抱える構造的な問題が原因だからだ。

 アメリカンユニバーシティの人類学准教授であるデイヴィッド・ヴァイン氏が、6年にわたって世界12の国と属領などの現在と過去の60にのぼる米軍基地を調査したレポート『米軍基地がやってきたこと』(原書房)では、在外基地の周辺で起こっている米兵を相手にした人身売買や売春などの実態を綴っているが、そのなかでも沖縄において兵士によるレイプや性的暴行事件が多発していることに言及。また同時に、女性軍人の3人に1人が在籍期間中にレイプ被害に遭っていたというデータ(2003年調査)などから、なぜ米軍では性的犯罪が常態化してしまうのか、その理由として軍隊内が“不自然な環境”であることを挙げる。

〈基地の男性と基地村の女性ならわかることだが、彼らがいるのはきわめて“不自然な”環境だ。それは人間(その大半が男性の軍士官と政府高官)が長い時間をかけてひとつひとつの決断を積み重ね、つくりあげてきたものだ。そうした決断の連続が男性優位の軍環境をつくりだし、そのなかで目に入る女性は、圧倒的にひとつの役割を求められるだけの存在となっていった。その役割がセックスだ〉

 そして、軍事主義のジェンダー分析の第一人者であるシンシア・エンローが指摘する「軍事化された男性性」が、米軍内部でいかに形成されているかを、こう綴る。

〈軍にとって最も難しいのは、人に人を殺せと教え込むことであり、それを教え込むには、他人が自分より「劣る」生き物だという考え方を吹き込んで、周囲の人間は人間ではないと思わせることだという研究結果がある。(中略)軍の訓練と軍の日常生活の文化によって助長される、周囲の人間など人間ではないという観念の中心となるのが女性蔑視──女性は男性より劣るという考え方だ。軍の組織ぐるみの売買春は、女性など人間ではないと思わせる重要な装置であり、その考え方を不滅のものにするのが、軍事化された男性性だ〉

 沖縄ではなぜ兵士がレイプや性的暴行事件を繰り返し起こすのか──それは橋下氏の言うような「猛者」だからではない、そのように“教育”されているからなのである。

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