〈1つは、電撃婚によってもたらされた修復不可能なまでの事務所との確執だ。(略)
2つ目の理由は、自身の目指す将来像との相違だ。本人が退所時に語っており、かつてからの夢であった海外での活動に本腰を入れたいというのは本音だろう〉
もう一人の脱退者、田中にしてもKAT-TUNへの鬱憤があったと思われる。
〈そもそもはグループ結成前にいちばん出番が多かった田中の気持ちからすれば、徐々にその立ち位置が後ろぎみになっていくことについて、積年の中で相当な鬱憤を抱えていたのだろう。(略)どこまでいってもグループでいることを運命づけられているジャニーズという環境に各々が窮屈さと限界を無意識のうちに悟る。そうして最終的に、人によっては抗っていくことになるのである〉
そして、田中はKAT-TUNとは別の居場所を求めた。それが西麻布に自らのバーをオーナーとしてオープン、2013年9月の事務所解雇という異例の事態に進んでしまう。同書ではその理由としてこんな示唆がなされている。
〈これ(解雇)はジャニーズ事務所の歴史上、かつてなされたことのない異例の処置。穏やかでない事情があったことを誰もが想像した。
このすぐ前に流出していたプライベート写真が原因か。
また、既に噂が事実として認知されてしまっていた西麻布のバーのことが原因か。
答えはその両方だとも言えるし、それ以外にあるとも言われた〉
KAT-TUNというグループのなかでもがき、自分だけの新しい道を模索したことで、事務所を辞めざるを得なかった赤西と田中。そして、今年3月末に事務所を退所した田口もまた“新たな道”を選ぶことになる。
〈田口にはずっと以前から、年上の女優の恋人がいると言われているが、この相手との将来を考え、新しい人生に思いを馳せたタイミングであることが想像できる〉
個性が強く、ヤンチャなイメージの強いKAT-TUN。その6人のメンバーはジャニー喜多川氏がのめり込み、相当な肝いりで結成されたと言われているが、だからこそ3人もの脱退者を出し、そして活動休止を余儀なくされた。
同書では、ほかにも数多くのエピソードでKAT-TUNの軌跡が綴られているが、特に亀梨と大物女優との交際にまつわる仰天エピソードなど恋愛事情もまた暴露されている。その内容は驚くべきものだが、これについては別の機会に紹介したいと思う。それにしても、同書を読んでいると、KAT-TUNの空中分解は起きるべくして起きた、そんなふうにも思えてくる。果たして新生・KAT-TUNを見られる日はやってくるのか、ファンは不安が尽きないはずだろう。
(林グンマ)
最終更新:2016.04.29 11:22